2020 Fiscal Year Research-status Report
介護予防のための動作姿勢認知能力評価手法と動作教示ロボットシステムの開発
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20K20263
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
高井 飛鳥 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (70769843)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者自宅実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、健常高齢者(70~80歳)を実験対象とし、脳計測とロボット介入のある運動課題により、I:動作姿勢を認知する能力を評価、II:認知能力を伸ばす訓練を提供、III:動作姿勢を教示するアシストシステムをデザインすることを目標としている。 令和二年度は、①健常若年者を対象としたロボット運動教示中における脳活動の解析及びその結果の国際学会での発表、②健常高齢者を対象とした実験を行うための倫理申請と動作評価システムの開発及び同システムの評価を行った。 ①について:ロボットが人を物理的に誘導する運動訓練では学習効果にばらつきがあることから,視覚情報や音を組み合わせるなどして,学習者をより積極的に参画させる必要があると考えられる。本研究課題では,ロボットによる教示前よりも運動誤差が減少した被験者群では,誤差が増加した被験者群に比べて訓練中の脳の感覚運動リズムが活発に見られ,身体感覚教示における運動成績と運動課題に携わっていることを示す脳活動に相関傾向を確認した。 ②について:年度当初より、COVID19のため、高齢者(65歳以上)を対象とした実験が所属機関にて行えなくなっていた。年度内の所属機関での実験実施の見通しが立たないことから、被験者の自宅で実験するための倫理申請をし、承認された。脳計測とロボット介入については、装着や操作の面で被験者が行うことは困難であることから、動作姿勢の計測を自宅で安全に行ってもらうための動作評価システムを開発した。日常生活の要となる起立動作を行ってもらい、被験者の自宅へ郵送した動作評価システムを使って、実験手順書に沿って実験を行えるよう準備した。年度内に、健常高齢者(73歳)と同居の健常者(44歳)に実験を行ってもらい、それぞれが2種類の椅子から起立・着座する動作姿勢データを得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和二年度は、健常若年者において、脳計測とロボット介入のある運動課題において、運動成績と脳活動に相関傾向を確認することができ、国際会議にて成果を口頭発表できた。また、被験者の自宅へ郵送可能な動作評価システムを開発し、健常高齢者(73歳)と同居の健常者(44歳)が2種類の椅子から起立・着座する動作姿勢のデータ解析を行った。実験は、被験者らが「脚力だけで立ち上がれる椅子」を自ら選定・評価システムを一からセットアップ・計測のタイミング合わせなどを協力して行い、実験のために整えたわけではない環境にて実施したが、取得された動画からは時々刻々の動作姿勢が抽出でき、概ね欠損の無い関節角度情報を取得できた。2種類の椅子において運動姿勢の違いを評価する予定であったが、残念ながら動画の撮影方向が異なっていたため比較するには至らなかった。本研究の最終目標として、フレイル段階の高齢者が日常生活の中で適切な運動能力の維持・向上ができる介護・支援装置の開発を目指しているため、日常生活の基盤である自宅環境にある課題・要求事項を把握し開発につなげるためにも、自宅での実験を想定したシステム開発に初年度から着手できたことは、今後の研究推進に大いにプラスになると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度に開発した動作評価システムでは、実験条件間の差を評価することができなかった。また、システムと合わせて、起立動作に関するアンケートを郵送し、「健常高齢者が起立中の姿勢を認知する能力を評価」するための被験者の動作姿勢に関する主観的評価を取得した。今回の被験者は、左右の姿勢や力の差は無いと回答していた。そこで、既に追加で購入した動画撮影機器及び反力センサを同期計測可能にシステム改良し、引き続き高齢者の自宅での実験を通して、簡易3次元計測による実験条件間の差の評価及び動作姿勢を認知する能力の実計測データとの比較が可能なシステムの構築を目指す。
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