2021 Fiscal Year Research-status Report
介護予防のための動作姿勢認知能力評価手法と動作教示ロボットシステムの開発
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20K20263
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
高井 飛鳥 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (70769843)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動作教示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、高齢者が日常の生活場面の中で、運動機能を維持・改善する機会を創出する必要があることから、動作を支援するアシストシステムを使用して、高齢者に動作姿勢を意識させ、さらにアシストシステムが動作姿勢を教示し、効率的に運動機能を維持・改善することができるのか明らかにすることを目指している。令和三年度は、①ロボット介入のある運動課題に対するスキル向上効果予測モデルの構築に関して学術論文への投稿、②起立動作教示ロボットの設計・製作を行った。 ①について:ロボットが人を物理的に誘導する運動訓練は、訓練後に課題運動がうまくなるのは、訓練前にその運動が下手な被験者であることが近年の研究で明らかになっている。しかし、そのレベルや閾値を定める方法が無かった。本研究では、既に取得した別の被験者群のデータから、訓練効果が見込める訓練前運動レベルを決定するベイズ推定を用いた手法を提案した。新規被験者の訓練効果の平均推定精度は8割であった。これにより、訓練開始前にロボット訓練の効果が見込めるか推定し、効果の低い訓練に時間を費やすことを防げる可能性がある。この成果は、Frontiers in Neuroscienceにて公開済みである(Takai et al., 2021)。 ②について:椅子から自然に立ち上がる動作にあわせて動く起立動作教示ロボットの機構設計を行った。利用者が完全に脱力した状態でもロボットのアシストで立ち上がれるよう出力設計した。また、ロボットの物理モデルを構築し、機構の可動域と軌跡の評価を行って、詳細設計を決定した。しかし、世界的な部品供給不足の影響から製作に時間を要したため、今年度はロボットそのものの十分な基本的評価が行えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和三年度は、起立動作教示ロボットを用いて、まずは若年健常者を対象に予備実験を行う計画であったが、発注後の納期が半年後になる部品が多かったため、ロボットシステムの完成が年度末となってしまった。そのため、想定する動作軌跡となっているかなど、制御を含めたロボットシステムの評価には至らなかった。しかし、ロボット単体でスムーズに動作し、メカエンドとリミットスイッチによる電気的な可動域制限が機能することで、安全に実験ができることは確認できた。また、被験者2名がほぼ脱力した状態でもロボットのアシストによって立ち上がることができ、出力も概ね確認することができた。利用者の動作を計測するシステムや、ロボットと利用者間に作用する力を計測するシステムも個別に完成しているため、若年健常者実験を行う環境は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和三年度に開発した起立動作教示ロボットシステムを統合し、まずは想定する動作軌跡となっているかなど、制御を含めたロボットシステムの評価を行う。その後、予定通り、健常者にロボットでアシストされて立ち上がり動作を行ってもらう起立評価実験を行う。アシスト前後とアシスト最中の起立運動を計測し動作の違いを検証するだけでなく、アシストに対する適応・即時効果を検証する。動作教示に適切なロボットシステムのあり方についてより詳細に検討していく。
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