2020 Fiscal Year Research-status Report
An approach to improve the sense of self agency for eating and swallowing rehabilitation
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20K20265
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中谷 真太朗 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (10781700)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オーラルフレイル / ニューロリハビリテーション / マニュアルコントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,舌の運動状態を視覚的に表示することで舌の運動リハビリテーションを助ける装置の開発を行ってきた.ところが実験を進めるなかで,運動推定を正しくできているにも関わらず,視覚表示が思い通りに動かないという問題が明らかになった.この操作性の悪さは被験者が持っている運動意図と,実際に表示される視覚フィードバックの結果が一致しないことによって生じていると考えられ,被験者の自己主体感を高めることでリハビリテーション効果を向上させるという本研究の最終目的を達成できない恐れがある.そこで,制御工学的なアプローチによって被験者の運動能力に応じてシステムのダイナミクスを変化させることでこの問題を解決することを目的とした研究を進めた.本年度は個人の運動能力に合わせたシステムのパラメータ調整手法を実機に適用し,健常人による実験を行ったところ,ある点ではシミュレーションと同様の応答ができていることを確認した.この成果の発表により,電気学会技術委員会奨励賞を受賞した.一方で目標地点付近での安定性には実機特有の問題があることも確認できた.一方で収束付近では想定通りの動きが実現できないことも明らかになっており,今後解決法を探る必要がある.平行して,舌の上下動時に舌に対して下向きに一定の負荷をかけることができる装置の開発を進めた.一定の負荷を与えながら運動を行わせる動的一定外力抵抗訓練というトレーニング法が知られているが,これを舌の挙上訓練において実現させた.本装置を用いた健常人に対する臨床実験を行い,代表的な舌運動機能の評価手法である最大挙上舌圧や,一定時間内の発生回数を計測するオーラルディアドコキネシスによる結果との比較を行った.この結果は日本機械学会論文集に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個人の運動能力に合わせたシステムのパラメータ調整手法を実機に適用し,健常人による実験を行うという点については想定通りに進めることができた.一方で社会情勢もあり,舌の運動機能推定モデルにもとづく舌運動状態の推定手法の確立に関しては実験を思うように進めることができなかったため,やや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
FRIT (fictitious reference iterative tuning) と呼ばれるデータにもとづく制御器調整法は視覚フィードバックだけでなく力のフィードバックを伴うロボットへの応用も可能であると考えている.視覚フィードバックの実装にある程度の目途が立ったことから,次年度以降は運動アシストシステムへの展開を進める予定をしている.このとき,インピーダンス制御や直列弾性アクチュエータ(series elastic actuator )を 利用した力制御を利用したロボットシステムについても検討する.舌運動状態の推定手法の確立に関しては十分な実験が行えないことも考慮しつつ,これまでに計測してきたデータを再確認するなどして研究を進める予定をしている.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症に関連する学内の実験環境見直しや,実験に使用する機材の見直しにより次年度使用額が生じた.また購入予定であった視線計測装置は既存のVRゴーグルの代替利用ができたことから,購入を遅らせた.旅費に関しては参加予定の学会・研究会がオンライン化されたことに伴い,支出がなかった. 次年度も必要とする旅費額が減少する可能性が高いため,ロボットを用いた力制御を含めた提案システムの拡張のために主に物品費として利用する予定である.
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