2022 Fiscal Year Annual Research Report
代数計算と数値計算の融合を戦略とする医薬品候補物の副作用予測モデルの創造への挑戦
Project/Area Number |
20K20283
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日比 孝之 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 名誉教授 (80181113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 達也 大阪大学, 大学院薬学研究科, 特任教授 (80144517)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 代数計算 / グレブナー基底 / 数値計算 / 医薬品候補化合物 / 分子記述子 / 最尤推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
日進月歩の計算機の性能の向上、計算ソフトの改良は、計算を必須とする数理科学の進歩に貢献する。しかしながら、今後の計算の飛躍的な発展は、代数計算の開発に懸かっている。JST CREST「現代の産業社会とグレブナー基底の調和」(通称、日比プロジェクト)の成功の要因は、代数計算と数値計算の融合に着眼したことに尽きる。代数計算と数値計算は、効率性と正確性において、長所と短所がある。両者の長所を融合させることが研究の成否の鍵となる。現状では、数値計算の専門家は代数計算を非現実的と軽視し、代数計算の専門家は理論的な側面への関心が強く、協働作業が欠落しており、ここに秘宝(将来の進展の可能性)が埋蔵されている。本挑戦的研究は、医薬品候補化合物の副作用発症確率を予測する数理モデルの創造をマイルストーンに掲げ、斬新な代数計算と既存の数値計算との融合理論を開拓する。 コロナ禍の影響から、外国出張がキャンセルとなり、とりわけ、研究代表者が、リンツ(オーストリア)の Research Institute for Symbolic Computation に滞在し、Buchberger 教授らとアルゴリズムに関する情報交換をする計画を断念したことは痛感の極みである。しかし、純粋数学の範疇では、グレブナー基底のテクニックを深化させ、可換環論の懸案の未解決問題を解決することに成功した。 研究代表者は、従来から、Box--Behnken 計画を、薬学に応用することに挑戦し続けているが、ことごとく、失敗の連続である。COVID-19 の流行に関連し、薬学と経済の観点から、Box--Behnken 計画に沿う数理モデルの創成に挑戦したが、有効な数理モデルの構築には至らなかった。但し、繰り返しの挑戦から、斬新な代数計算と既存の数値計算との融合理論を開拓する土壌を育んだことは、次世代の研究へ踏襲する貴重な財産となる。
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Research Products
(1 results)