2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Short-Period Spectral Level of Intra-Plate Earthquakes for Design Earthquake Input Motion
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17H06215
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高井 伸雄 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10281792)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | プレート境界地震 / プレート内地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
プレートの沈み込み帯付近で発生する地震の震源特性として,短周期励起特性が地震タイプ・深さ等により異なる事が指摘されてきた.これを踏まえれば,高精度な強震動予測を実施するためには,パラメターの一つである加速度震源スペクトルの短周期レベルを地震タイプ毎に適切に設定することが鍵となる. しかし,本研究の対象地域における地震タイプと短周期レベルの関係については,スラブ内(IS)地震とアウターライズ(OR)地震は,同規模のプレート境界(IP)地震よりも短周期レベルが大きい,IS地震とIP地震の短周期レベルに差異は無く深さに依存する,OR地震の短周期レベルはIP地震より小さい等,評価が一定していない. そこで,まず東北沖の日本海溝付近で発生する地震の短周期地震波の励起特性を把握するため,地震動予測式に基づいて地震タイプ間の短周期励起特性の比較を実施した.代表者が過去にSS-GMPEを構築されているサイトは限定されているが,これら観測点で各地震の観測値と予測値を比較した. これによれば,IS地震ではOR地震のSS-GMPEによる予測値が2倍弱程度大きいものの全体としては良い対応を見せている.一方IP地震では予測値が観測値を大きく上回り,予測値が観測値の4倍程度となっている.この違いは地震タイプ毎の短周期レベル比較と整合していた. 本研究では,東北沖の地震タイプの違いの検討に加え,2015年にネパールで発生した浅い(深さ10km)のプレート境界(衝突帯)地震であるゴルカ地震(Mw7.8)で得られた観測記録で短周期レベルが小さいことに注目し,震源断層ほぼ直上の岩盤観測点の記録の解析を実施した.これにより,長時間幅パルス地震動が明瞭に見られる一方,短周期成分は非常に小さいことが指摘でき,近傍の堆積層上観測点の記録の解釈を実施する上で重要な地下構造の検討等も併せて実施し,論文公表に至っている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事業開始期間が7月1日であり,観測機材の納期に4ヶ月近く要し,全ての機材が12月の受け取りであったため,当初予定していた観測地点での地下構造探査の実施が不可能であった.一方で,プレート境界地震の解析の一部分をなす2015年ネパール・ゴルカ地震の解析においては,記録が得られた観測点近傍で,保有している機械等・データを用いて,詳細な地下構造推定を実施し,論文にて公開しており,当初予定していた作業の注力配分が異なったものの,全体の行程からみると,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究ではSS-GMPEの考え方に立脚して震源特性の把握に努め,4年間で研究が実施されるが,今後は以下の3つのセクション(I~III)の実施と併せて,昨年度に引き続き短周期励起が極端に低い2015年ネパール・ゴルカ地震の解析を継続する. I 地震動データベース構築(昨年から継続):東北・北海道地域で発生する太平洋プレート沈み込み帯付近で発生する地震の地震動データベースを構築する.全データを基に,S波フーリエスペクトル,応答スペクトルを計算し,データベース化する. Ⅱ SS-GMPEの構築(昨年から継続):応答値データの距離による減衰特性を検討するため,データベースを基に各地震タイプでSS-GMPEを構築し,既往の距離減衰式を用いて各地震タイプの特徴を周期帯毎に把握し,震源特性を検討するに耐えうる特定の対象観測点を選定する(Ⅲではすでに抽出した観測点に関して実施する). Ⅲ 昨年度の北海道内の観測点で観測されたスラブ内地震における強震記録の解析を通し,2013年に十勝地方で発生したスラブ内地震の釧路地方の観測点の記録に関して,地盤増幅特性の除去が必要と考えられるため,防災科学技術研究所(NIED)の公開する3次元地下構造モデルを基に,地下構造の推定を実施する.その際,昨年導入した,同時微動アレー装置を用いて,浅部~深部への精度の高い地下構造モデルの構築し,震源特性のより正確な把握を目指す. Ⅰ,Ⅱは昨年度でも実施されているが,データの更新・充実はより正確なSS-GMPEの構築に重要な作業であるため,作業の継続が求められる.
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