2020 Fiscal Year Research-status Report
プレート内地震の高振幅短周期は本当か?-設計用入力地震動作成のための震源像-
Project/Area Number |
20K20290
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高井 伸雄 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10281792)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重藤 迪子 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (90708463)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | プレート内地震 / プレート境界地震 / 内陸地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
東北沖の日本海溝付近および,北海道東岸域で発生する地震の短周期地震波の励起特性を把握するため,地震動予測式に基づいて地震タイプ間の短周期励起特性の比較を実施してきた. 2020年度は,根室半島沖のプレート境界付近で発生する地震の震源特性についてMjma5以上の地震を抽出して,観測記録をもとに,短周期励起特性の比較検討を実施した.プレート内地震は同程度の規模および震源深さのプレート境界地震と比較して、高周波数帯域の振幅が大きい.同程度の規模のプレート内地震に関し,深い震源の地震は浅い地震と比較して,高周波数帯域の振幅が大きいことが明らかとなった.千島海溝付近で発生する地震は危惧されており,震源特性の解明に基づく精度の高い強震動予測への足掛かりになったと考えられる. 2021年2月13日に福島県沖で発生したプレート内地震(Mw 7.1,深さ55 km)に関しての解析を進めている.本地震では構造物被害・人的被害が発生している.本地震の周辺域では過去に同規模の地震が発生しており,周辺の地震との広域の強震動分布の減衰性状の比較を通し,本地震の広域強震動分布特性を検討した.同マグニチュードの2011年4月7日に発生したプレート内地震と比較すると,2011年の地震では短周期域の応答スペクトルの値が大きいが,周期3秒に関しては2021年の地震が北海道で大きくなることが確認できた.近傍の他タイプ・同規模の地震と比較すると本地震の振幅は大きいことも確認した.また,過去に構築した減衰の地域性を考慮した予測式では広域は比較的精度良く評価出来ていることも明らかとなった. 2019年に取り組んだ,2018年9月6日に2018年北海道胆振東部地震に関しては,特に大速度が観測された観測点近傍の丘陵上の臨時観測点の地下構造を高精度に推定することで,高周波数の減衰に関しての基礎資料を作成した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述に加え,北海道内での観測点の浅部探査等に関しては大きく進展,進行している.しかし,社会情勢を反映して,学会等による議論が非常に困難であった.それにより, 2020年度は最終年度であったが,不十分であった学会等での情報発信,意見交換等を主とした議論を継続したいと考え,期間延長を申請した.
|
Strategy for Future Research Activity |
単一観測点強震動予測式(SS-GMPE)の考え方に立脚して震源特性の把握に努め,4年間で研究を実施しており,さらに2018年北海道胆振東部地震の短周期励起が高い要因に関しての検討も継続して実施する.特に,2020年度に進めてきた本震時の大速度観測点付近の臨時観測点の地下構造の高精度な推定に基づき,震央の北部に位置する大加速度記録観測点と比較して,南部に位置する大速度記録観測点での高周波数成分の低下傾向を定量的に把握していく.スラブ内地震である2021年2月の福島県沖地震に関しての検討では,過去に構築したGMPEの精度が高いことを2020年度に確認出来ているが,さらに本地震における震源特性を詳細に検討する.応答値データの距離による減衰特性を検討するため,データベースを基に各地震タイプでSS-GMPEを構築し,既往の距離減衰式を用いて各地震タイプの特徴を周期帯毎に把握し,震源特性を検討する.高周波数帯域のサイト増幅特性に関して,北海道における検討対象観測点の高周波数の季節変動に関する検討も定期的な物理探査の実施により行っており,より定量的な検討へと繋げる.これらにより,プレート内地震・プレート境界地震・内陸の比較的深い地震の震源特性のうち,特に短周期レベルに関しての性質が把握できると考えている.
|
Causes of Carryover |
社会情勢を反映して,国内・国外の両会議共に参加が困難である状況で,分野を共通する研究者との活発な議論・意見交換が出来ていない.昨年度実施してきた観測点付近の表層地盤の季節変動を含む詳細な検討は2021年度にも継続されるため,その観測に関わる物品,旅費および解析用の計算機に使用する計画である.
|