2019 Fiscal Year Annual Research Report
災害を生きる力8因子の防災教育応用を目指した計測技術開発と原理解明研究
Project/Area Number |
17H06219
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉浦 元亮 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60396546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 翔輔 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00614372)
新国 佳祐 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 助教 (60770500)
邑本 俊亮 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (80212257)
本多 明生 静岡理工科大学, 情報学部, 准教授 (80433564)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日の防災は、対象とする「災害」を想定可能な単一災害から予測不能な複合災害へ、また対象とする「災害のフェーズ」を発災・応急時対応から復興へ、と視野を拡大しつつある。これに対する防災教育的対応は、多様な状況・文脈に柔軟・創造的に対応することが可能な多面的な力を持った人を育てる発想が必要である。本研究では、申請者らが東日本大震災以来進めてきた災害人間科学研究「災害を生きる力」8因子(気持ちを整える力・問題に対応する力・人を思いやる力・きちんと生活する力・人生を意味付ける力・人をまとめる力・生活を充実させる力・信念を貫く力)を発展させ、その工学的な教育技術開発の学術基盤を整備する。2019年度は、計測技術開発としてはこれまで開発してきた生きる力質問紙の短縮版を完成させ、標準版と合わせ標準データを含めて国際学術誌に論文発表した。各因子の背景認知プロセス理解のため性格特性との関与を分析し、感謝特性,グリット,セリフコントロールの関与を明らかにした他、無意識的な思考過程と問題解決の関係や、信念を貫く力の背景に思考の非柔軟性が存在することを機能的MRIを用いた脳活動計測で明らかにした。生きる力因子に関する教育技術開発として、ディベート・トレーニングの活用に挑戦した。社会実装へ向けた取り組みとして、被災地を訪問して現地実習を行った東北大生のグループが、メンバーの母校で防災教育を行い、学び手が伝え手になる防災教育・災害伝承システム構築の新たな取り組みとして複数のメディアに取り上げられた。昨年度までの成果のうち東日本大震災における津波避難や共助行動と生きる力因子の関係について論文が国際学術雑誌に採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより研究計画が中断したが、繰越制度と2020年度に進めた研究のオンライン化により、なんとか予定通りの進捗を得られた。脳内プロセス解明のための実験・解析・成果発表について、期待した程度の進捗が得られていないが、次年度にキャッチアップできる見通しは立っている。教育技術の開発やその社会実装の試みが想定以上の成果を上げている。以上、均して概ね順調な進展と評価したい。
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Strategy for Future Research Activity |
脳内プロセス解明のための実験課題着想収集について、フィールドをリアル対面教育現場からオンライン文脈での調査にシフトさせたり、他の関連プロジェクトや授業との連携を工夫したりするなどの動きを加速させる。客観的指標の開発は昨年度に実施した実験のデータ解析と、昨年度より準備中の実験を新型コロナウイルス感染拡大対応を受け、オンライン実験に衣替えしての実施を目指す。脳内プロセス解明実験は特に解析・論文化に力を注ぎ、最終年度の総括を目指す。
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