2023 Fiscal Year Research-status Report
ナノスピンダイナミクスを基軸とした革新的流体制御技術の開拓
Project/Area Number |
20K20294
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 崇 九州大学, 理学研究院, 教授 (80360535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 淳 九州大学, 理学研究院, 講師 (10274424)
大西 紘平 九州大学, 理学研究院, 助教 (30722293)
鴇田 昌之 九州大学, 理学研究院, 名誉教授 (80163963)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノ磁性体 / 接触角 / フリンジ磁界 / 反磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高精度で形状制御されたナノ磁性体のスピンが創出する電磁場を用いて、革新的なソフトマテリアルの制御手法を開発することである。具体的には、磁性体表面上の水の濡れ性や対流などを通じて、ナノ磁性体中のスピンと流体が織りなす相互作用を定量的に明らかにし、同現象を各種液体やガス分子などの流体一般の制御技術へと高度化する。さらに、これらの系における量子力学的な相互作用をも引き出し、界面を介したスピン系と流体系の角運動量の受け渡し技術を開発する。流体とナノ磁性体との融合は、ソフトマテリアル系を活用したフレキシブル・スピントロニクスへの展開や特異な表面状態を反映した新量子物性現象など、これまで未開拓の新領域科学に切り込む格好の物質系である。加えて、スピン-動力の直接変換やマイクロ流体発電などの魅力的な工学的応用が期待できる。 今年度は、反応性イオンエッチング装置を用いた微細周期パターンの精度向上、更には、接触角測定器に温度制御器を取り付け、微小水滴蒸発過程の温度依存性を調べる機構を取り付けた。加えて、周期的なナノ磁性体パターンを用いた磁区構造制御法を開発し、より強いフリンジ磁界を発生させる構造の実現に成功した。一連の手法は、水滴制御の要素技術となり得るので、今後は、これらを結集して水滴制御の総まとめ的な実験を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
接触角、及びそのダイナミクスの温度依存性や水滴量依存性など、次々と新しい現象が見つかっているため、それらを考慮したうえでの水滴制御法を確立する必要があると判断したため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、今年度得られた数多くの新しい知見(温度制御、水滴量の最適化、高精度微細加工技術、高強度フリンジ磁界)とこれまでの知見をまとめ、最終的な水滴制御を実現する。
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Causes of Carryover |
研究を遂行する上で、水滴量依存や蒸発過程の温度依存性など、新しい課題が明らかになり、更なる実験が必要となったため。
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