2021 Fiscal Year Research-status Report
Local-tracking Structure of Youth in the Period of Population Decline
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20K20335
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 徹 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (90263194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 進路選択 / 人口社会減 / 地方再生 / ライフヒストリー / 継続調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では前年度までに島根県と福井県などで実施した普通科高校の進学予定者に対するアンケート調査のデータを解析し、地方県からの進学行動の地域差について量的に検討した。その結果、両県には高等教育進学者の収容力の差があり、加えて学校文化の異なりも大きく、これらによって、高校生の進路希望や将来展望に差異がみられることが明らかになった。これは同じ地方県でも若年層の人口移動についての課題の様相が大きく異なることを示唆している。この分析結果は、2022年1月に市民シンポジウムにおいて報告した。さらに現在、学会報告を予定しており、並行して投稿論文を執筆中である。 聞き取り資料収集の質的アプローチによる研究については、新型コロナウィルス感染拡大奉仕のため、度重なる緊急事態宣言が出されて実施に困難をきたしたが、その合間において、愛媛県西予市にある愛媛県立野村高等学校、沖縄県大宜味村にある沖縄県立辺士名高等学校、島根県奥出雲市にある島根県立横田高等学校などの高等学校、和歌山県教育庁、和歌山県新宮市にある和歌山県立新翔高等学校、島根県業績企画課、島根県立大学、私立仁愛学園、島根県雲南市にある雲南市立大東中学校、松江市にある松江市立八雲中学校などを訪問し、地方からの大学進学や地元学生の受け入れについての聞き取りと資料収集を行った。また地域みらい留学のNPO実践活動の事務局でも情報を収集した。 この間、方法論の書籍を購入し、調査方法論の技術と知識のアップデートに努めた。国会図書館や各地の公的図書館、公文書館の資料などを閲覧検討することなどにより、資料収集を行った。 他方で、全国で地方県からの進学移動を分析している研究者の研究動向を把握し、若年層人口流出の現代的実体についての包括的な研究把握と、学術的な理論構築のための研究会を立ち上げる準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、全国の地方県の自治体や学校での訪問面接や聞き取り、資料収集を主たる手法とする。しかし2021年度においては、新型コロナウィルス感染拡大による度重なる緊急事態宣言発出などのため、計画していた訪問が延期になることが重なった。研究成果を社会に還元するための公開シンポジウムや報道などについても、同じ理由から延期が重なった。 そのため、年度当初に計画していた研究のかなりの部分を次年度以降に先延ばしせざるを得なくなってしまった。 研究エビデンス収集の遅れにより、分析や学会報告、論文執筆も先延ばしにせざるを得ない状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度になり新型コロナウィルス感染拡大の影響が弱まれば、予定していた研究をただちに再開する。 しかし、過去2か年間において、人と接する研究に大きな制約があったため、エビデンスの収集が遅れている。これは、データ収集の性質上、研究期間を延長して遂行せざるを得ないものと現時点では考えている。
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Causes of Carryover |
国内旅費と国外旅費が、コロナ禍に伴う移動の制限により支出されなかった。また会議費用など、その他の経費も一部支出されなかった。翌年度以降には、延期になっている研究計画を遂行することで、適正な研究費使用を行う。
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Research Products
(2 results)