2018 Fiscal Year Annual Research Report
Active Learning Theory based on Brain Constructivism
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18H05318
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
仁木 和久 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 客員研究員 (30344211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緩利 誠 昭和女子大学, 総合教育センター, 講師 (80509406)
岩野 孝之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (80415645)
内海 緒香 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 特任講師 (60735306)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 学習理論 / 脳認知科学 / 生涯発達 / 教育改革 / 構成学習 / 行為の学習と記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間固有のアクティブラーニング(Active Learning;以下ALと略)特に構成学習のメカニズムと諸特性を明らかにする「ALの脳認知科学」研究を推進した。構成学習を担うAL-Core Net(ALコア脳システム)を明示し、意欲と意図、感情との協働性を明らかにした。Standard教育で重視される論理的思考を担うPFC-Parietal NetとAL-Core Netとの協働動作を検討できる脳認知モデルを提案し、教育全般にわたるALの学習現象を論じ、脳認知科学エビデンスに基づき説明できる研究基盤を構築した。 教育実践の場で役立つAL学習理論を目指し、乳幼児期から生涯に渡るたALについて検討し、アートを取り入れたSTEAM実践や成人期のESD(Education for Sustainable Development)で、楽しさや内発的動機づけが重要であることを示した。Playful Learning との関連を調べ、成長的マインドセット、GRIT等の社会情緒スキルが、持続的なALに必要なことも示した。 AL学習理論の評価法についての検討に着手した。Well-beingとInvolvementを鍵概念とするBrain Constructivism授業評価枠組の仮説構築にあたり、様々なモデルを検討した結果、Ferre Laeversが開発したSICS(Self-evaluation Instrument for Care Settings)の有効性と可能性に注目し、初等・中等教育での発展的援用方法の検討を開始した。 脳科学研究では、フロー状態やゾーンに関するfMRI計測実験の先行研究の調査を行った。また、学習効果等を脳科学的に調べる手法として脳内の機能的結合ネットワークを計測・解析するための実験設定を構築し、脳の形態的・機能的変化がREM睡眠奪取状態で起こることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間が実質8か月間であることを考慮すると、当初計画の核心部分の研究を順調に展開できたことで、概ね順調な研究進展ができたと評価できる。 しかし、産総研の岩野研究員が所属先での出向の為、やむを得ない1年間の研究離脱となったため、今年度および来年度に渡る1年間の研究計画の見直しが不可欠となった。脳科学的実験に関する研究の実施は順延されるが、既存データを用いたメタ解析研究等の前倒し実施等により、4年間の研究実施に支障が無いよう様に調整する。
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Strategy for Future Research Activity |
提案した「アクティブ・ラーニングの脳認知科学」を発展させる。意欲や感情、マインドセットとALとの関係をより詳細に明らかにし、さらにH30年に提案したPFC-ParietalネットとAL-Core Netとの協働動作がALの重要な特徴であるという「AL学習理論」仮説についての脳認知科学研究調査を深化させる。その成果を反映した「ALの脳認知科学モデル」を提案し、それに基づき、AL遂行時の脳の状態・条件、認知行動を構成する諸認知機能要素と社会的情緒・感情スキル(含む高次意欲、マインドセット、GRIT)の相互関係、それらと学習環境との相互作用ダイナミックスとして「学び」と「教え」、「教育」を探求する研究手法の提起を目指す。 ALがどのような条件・状態で起きるか(また、阻害されるか)を「教育用語」と「教育心理用語」を用いて学習原理を記述し、そのエビデンスを脳認知科学的に説明する「ALの学習理論(1版)」の構築を目指す。また、ALの学習理論が説明し予言するターゲットとして、CCRの「教育の4次元」やVisible Learning の「教育の効果」、成長的マインドセット、GRITを対象とすることを試み、ALの学習理論の有効性等をアピールしたい。 また、ALの脳認知科学モデル構築にあたり必要なデータを収集するため、意欲や感情とALとの関係性を確証するためのfMRI実験を実施する。 さらに、前年度に開始したAL学習理論の評価法についての検討をより発展させ、Well-beingとInvolvementを鍵概念とするBrain Constructivism授業評価枠組の仮説構築(心理尺度の構成、観察枠組の構築、評価デバイスの検討)を行うため、Webベースでの大規模なアンケート調査を実施する。この仮説構築に必要な調査研究の一環として、教育現場での調査や海外調査研究を実施することを計画している。
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Remarks |
現在、研究チームの情報共用目的で運用
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Research Products
(9 results)