2023 Fiscal Year Annual Research Report
Toward the understanding of organizing center for the complex dynamics in dissipative systems
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20K20341
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 客員研究員 (00131277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪 浩 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (40396255)
渡辺 毅 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 特任准教授 (40726676)
國府 寛司 京都大学, 理学研究科, 教授 (50202057)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大域分岐解析 / ナノ微粒子 / 反応拡散方程式 / 相分離 / 自己組織化 / Cahn-Hilliard 方程式 / 空間局在解 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究の中心課題である3次元ナノ微粒子系における多様なパターンを生み出す万能細胞ともいうべき数理的機構の解明と実験プロセスとの対応を明らかにした.とりわけ最終年度に明らかになったモデル方程式の時定数の重要性は特筆に値する.通常自由エネルギー汎函数の微分として,系の発展方程式は得られるが,複数の未知関数が存在する場合,それらの時定数比は確定していない.最速降下法(時定数比=1)が自然なものとして採用されるが,それに深い物理的理由はない.代表者らはブロック共重合体微粒子における多面体構造形成をCoupled Cahn-Hilliard方程式の時定数を変えることにより数値探索を実施し,圧力や初期濃度などの実験設定がモデル方程式の時定数と密接に関係することを初めて理論的に明らかにした.ナノスケールで複数の角を持つ多面体解の生成は反直感的であり,それを生み出す機構は大きな謎であったが,本研究によりその疑問の一部が解決された.すなわち実験過程の何が他より先に進行するか,あるいは遅いのかという時定数比に関わる設定が最終形状に決定的な影響をもたらすことが明らかとなった.適切な初期値と時定数比というパラメータにより動的に最終パターンは決定されるのである.本成果はアメリカ化学会のACS Omega に受理され(2024年3月),高い評価を得,その表紙を飾った. 2.自由エネルギー探索のための信頼できる数値計算法,特にエネルギーの単調性を担保する構造保存型スキームの開発,また不安定解探索のためのOptimization-based Shrinking Dimer(OSD)法による大域探索においても基礎的貢献を果たした.3種反応拡散系における振動テールを持つパルスの対消滅現象や不均一領域でのダイナミクスを生み出す組織中心網についても大きな成果を得た.
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Remarks |
西浦廉政ホームページ 「コモンズの数学」
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