2019 Fiscal Year Annual Research Report
機能性結晶材料開発のための元素・サイト制御型インテリジェントX線測定の開拓
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18H05347
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志村 玲子 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (90420009)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | X線回折 / 結晶構造解析 / Cu / Zn |
Outline of Annual Research Achievements |
装置開発(1年目の延長)と並行し、測定用の結晶作製を行った。装置性能を効率よく発揮した計測には隣接元素を含んだ適切な結晶を用いることが重要である。そこで、隣接元素であるCuとZnを含有した結晶探索を行うこととした。Cu-Zn-O系にて物質探索を行った結果、残念ながら、大気下でもアルゴン雰囲気中でも真鍮などのCuZn合金やZnO、Cu2Oなどの既存酸化物以外に新たな相は晶出しなかった。そこで、酸素を除去した環境下で、合金の探索を開始し、CuとZnとアルカリ土類金属元素(A)の合金系で新物質探索を行った結果、Ba(Cu,Zn)5の新規相を得ることができた(論文として出版)。また、さらに他の元素を含有する隣接元素系での探索も行い、他の新規相も発見し、投稿準備中である。 前者については、BaCu2.6Zn2.4の単結晶を金属単体原料を混合してAr中で加熱することで作製できた。単結晶X線構造解析により、結晶構造はBaZn5 (Cmcm)の多形であり、α-SrZn5型(Pnma)の構造を持ち、格子定数は、a=12.9858(3), b=5.2162(1), c=6.6804(2)であることが判明した。この構造は、CuとZn原子の四面体と三角形が組み合わり構成されたb軸に沿った楕円柱状の筒状構造フレームワークとその筒状構造フレームワーク中のBaの配置として理解可能である。BaCu2.6Zn2.4の格子体積はBaZn5より約6%小さく、α-SrZn5とほぼ同等である。SrがBaに置換されることでアルカリ土類金属(A)-金属元素(M)距離が大きくなる効果と、ZnがCuに置換されることでA-M距離が小さくなる効果が、幾何学的にちょうど相殺し、Ba系でα-SrZn5型が安定になったものと考えられるなど、非常に興味深い特徴を持つ新規相である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要試料の作製は完了し、探索も十分進行したので以上の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
隣接元素試料の探索と試料測定を行い、解析とフィードバックを迅速に進めていく。
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