2021 Fiscal Year Research-status Report
L体およびD体のホモポリ-γ-L-グルタミン酸の合成とメカニズム解明
Project/Area Number |
20K20371
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石川 周 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 准教授 (30359872)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸谷 吉博 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70582162)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | オーバーフロー代謝 / γ-PGA / AbrB / Spo0A / ゲノム縮小株 |
Outline of Annual Research Achievements |
①γ-PGA合成メカニズムの解明 枯草菌が生産するγ-PGAは、グルタミン酸のL体とD体によるヘテロポリマーであるが、γ-PGA合成酵素のPgsB/PgsC/PgsA、のうち、PgsAのC末端領域の部分的な欠損により、L体のみからなるγ-PGAとなる。本年度は、1アミノ酸レベルでどの領域が必要かを特定した。L-PGA生産のためにも、PgsAのN末端に存在する膜貫通領域が必要であるが、この領域だけでは生産量が減少すること、効率的なL-PGA生産には、十分なC末端領域が必要であることを見出した。 ②バイオプロダクション細胞の最適化 【厳密な細胞分化の抑制】AbrBは細胞分化を抑制しているサイレンサーであるが、定常期では上位のグローバル転写因子Spo0Aにより転写が抑制され、細胞分化が誘導される。Spo0Aによる抑制を解除した株(abrB*株)では細胞分化が抑制され、物質生産性が上昇する。また、ゲノム縮小株であるMGB874は高い物質生産性を有するが、最少培地では増殖阻害がみられる。面白いことに、abrB*変異を導入すると、MGB874の増殖阻害がキャンサルされるが、転写解析によりその原因を突き止めた。 【アセトイン・酢酸による物質生産抑制の解除】グルコースを含む培地で培養すると、オーバーフロー代謝によりアセトイン・酢酸が培地中に蓄積し、細胞増殖が阻害され、物質生産が減少する。アセトイン合成遺伝子の転写制御因子であるAlsRを利用し、グルコースが過剰に取り込まれた場合に、主要なグルコース取込輸送体であるPtsGをよくせいするフィードバックシステムを構築した。枯草菌は、オーバーフロー代謝がおこる培養では増殖阻害がみられるが、このシステムを導入すると、期待通りに増殖阻害を解除することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標の一つである「D-PGA生産」に関しては、様々な手法を試みているが、未だに成功には至っていない。 一方、L-PGA合成に関しては、解析が進んでおり、さらに、代謝改変によりPGA生産を増産できる可能性のあるシステムの開発も進んでいる。 両方を考慮して、おおむね順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
【D-PGA合成】 D-PGA合成が亢進した株をスクリーニングするシステムは構築済みである。それを利用し、合成酵素にランダムに変異を導入したライブラリーから、D-PGA生産株の獲得を目指す。 【代謝改変によるPGA生産性の向上】 物質生産に有利に働くと考えられる新規代謝システムにより、PGA生産が上昇するか検証する。 【L-PGAの生産性向上】 代謝改変株と組み合わせて、高い生産性を有する株を作成する。 【γ-PGA合成の分子メカニズムの詳細を解明】 His-tagによりγ-PGA合成酵素複合体を精製するシステムを構築中であるので、それをすすめ、仮説を検証する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナのために実験に遅れがでたため。
|
Research Products
(3 results)