2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K20376
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 近 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恒川 直樹 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任研究員 (90638800)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膜蛋白質 / 結晶解析 / 脂質二重膜 / 結晶大型化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、第一に、膜蛋白質結晶中の脂質二重膜を可視化する技術を確立し、燐脂質と膜蛋白質との相互作用の詳細を明らかにすることを目指している。具体的には、脂質二重膜からの寄与が大きい分解能10Åよりも低角の反射点の位相を決定する技術を確立することである。第二に、これまでに開発してきた溶媒コントラスト変調法の発展を目指し、前提となる膜蛋白質結晶の大型化技術の開発を目指している。後述の事情から実験の遂行が困難になったため、本年度はソフトウェア開発に重点を置いた。 低角反射点の位相決定に当たっては反射強度の精確な測定が出発点であるが、どの程度の精度で測定が行われているかを反射点ごとに検討する為のソフトウェアが欠落していたので、まずその開発を行った。次に、巨大蛋白質の結晶の低角反射の位相決定に有用な重原子クラスターとしてTa6Br12(2+)が有用であることを見出したが、実際の位相決定に適用しようとすると既存ソフトウェアではsuperatomとして扱うことしかできない。一方でこのクラスターの場合、2重の球殻を形成するから中心には原子は存在せず、その効果はsuperatomでは近似できない。この問題に対処すべく量子化学計算とソフトウェア開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による中断と、技術補佐員2名の長期離脱(産休)のため、実験に大幅な遅れを生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
重原子クラスターを用いる低角反射の位相決定に関しては、ソフトウェア開発の目途が立ったので実用化に向けて開発を進める。またようやく実験を再開できたので、最も有用性が高いと期待される溶媒コントラスト変調と多重同型置換法を組み合わせる新手法に関し、データ収集を行い、手法の完成を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による中断と技術補佐員2名の長期離脱(産休)のため、実験に大幅な遅れを生じたため。助成金の残額は主に期間延長に伴う人件費と、予定していたが遂行できなかった実験関係の物品費に充てる。
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