2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H05369
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
千原 崇裕 広島大学, 理学研究科, 教授 (00431891)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 神経 / ショウジョウバエ / 個性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、匂い感覚に関連する分子、ニューロン、回路構造、そして個体行動について分子遺伝学的に解析することで、嗅覚感度に関する分子基盤の解明を目指している。具体的には、ショウジョウバエを用いた個体ごとの嗅覚に関わる行動パターン測定、行動結果に基づいた個体選別と系統化、そしてそれぞれの個体における嗅覚神経回路の定量を行っている。現在の進行状況について以下に説明する。 1,嗅嗜好性試験、特にビーカー等を用いた「field trap assay」とT-Mazeを用いた「Two-choice assay」を導入し、それらの使用法を習得した。安定的なデータを取得するために、実験時間(朝、夕、夜など)、温度、湿度、明暗など、様々な実験条件を検討した。 2,ショウジョウバエの嗅感覚個性を厳密に調べる目的で、遺伝学的背景を均一化したショウジョウバエ系統を作出中である。遺伝的背景を均一にした系統を用いて、様々なGal4系統やUAS系統の遺伝的背景を整える予定である。 3,少数個体、可能であれば一匹のショウジョウバエにおける遺伝子発現を厳密に解析するための手法の確立を目指して様々な条件検討を行った。定量PCRなどをもちいて、どの程度の微量RNAで再現性良いデータを得られるか、様々な手法、条件を用いて検討した。その結果、ショウジョウバエ一匹の頭部からのRNAのみで安定的にmRNA量を測定することが可能になった。 4,解剖溶液、組織マウント法などを検討することで、ショウジョウバエの嗅覚受容体細胞数を精度よく測定する実験プロトコールを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りのペースで研究は進んでおり、次年度も予定通り研究を実施する方針であるため
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず以下の研究を行う予定である。 1,ショウジョウバエを殺さずに嗅覚受容体細胞数を測定するために、嗅覚受容体遺伝子のプロモーター下にルシフェラーゼ酵素を繋いだトランスジェニックショウジョウバエを作出する。このトランスジェニックショウジョウバエを用いた実験系の構築を行うことで、単一ショウジョウバエからの発光量と実際の嗅覚受容体細胞数に対応があるかを確認する。 2,少数個体のショウジョウバエを用いたRNA-seqの精度を確認する実験を行う。ショウジョウバエ一匹から安定的なRNA-seqデータを取得できるか解析する。 平成30年度の結果に加え、上記研究を行った後、各ショウジョウバエの嗅覚感度と遺伝子発現、嗅覚受容体細胞数の相関について検討を行う。
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