2020 Fiscal Year Annual Research Report
代謝とエピゲノム改変によるT細胞リプログラミング法の開発
Project/Area Number |
20K20384
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90182815)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫記憶 / 免疫学 / 抗腫瘍免疫 / サイトカイン / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
T細胞の疲弊化は腫瘍免疫の効果を減弱させるだけではなく、チェックポイント阻害療法抵抗性の原因となる。またキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法でもT細胞の長期培養による疲弊化は避けられない。しかしT細胞疲弊化の分子機構の解明は始まったばかりである。我々はFoxp3の転写を直接活性化し制御性T細胞の分化に必須の役割を果たす転写因子因子として核内受容体NR4aファミリーを発見した。CD8+T細胞においてはNR4aはPD-1,Tim3両陽性の疲弊化したT細胞で強く発現誘導された。NR4aをCD8+T細胞で欠損させると、T細胞は疲弊化しにくく、強い抗腫瘍効果を持っていた。ATATseqなどのゲノム解析の結果、Nr4aはPD-1遺伝子のエンハンサー領域に結合しPD-1の発現を安定化すること、またAP-1やNF-kBと競合することでIFNγなどの抗腫瘍性サイトカインの産生を抑制することが明らかとなった。一方で疲弊化したT細胞を若いメモリーにリプログラムする方法も盛んに研究されている。最近、新規メモリーT細胞サブセットである幹細胞メモリーT(Tscm)細胞が発見され、新たなT細胞移入療法の素材として注目されている。Tscm細胞は一旦活性化されたメモリーT細胞でありながら、ナイーブT細胞様の表面マーカー表現型を示し、長命で抗原刺激に応答して急速に増殖し、多数のエフェクターT細胞を産生する。我々はヒト末梢血より腫瘍抗原特異的T細胞あるいはCAR導入T細胞を増幅させたのち、Notchリガンドを発現するOP9細胞と共培養することにより、エフェクターT細胞をTscm様細胞(iTscm) に転換できることを示した。現在、iTscm化に重要な液性因子の抽出を行っており、Tscm化の分子機構を明らかにしつつある。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] The liver-brain-gut neural arc maintains the Treg cell niche in the gut2020
Author(s)
Teratani T, Mikami Y, Nakamoto N, Suzuki T, Harada Y, Okabayashi K, Hagihara Y, Taniki N, Kohno K, Shibata S, Miyamoto K, Ishigame H, Chu PS, Sujino T, Suda W, Hattori M, Matsui M, Okada T, Okano H, Inoue M, Yada T, Kitagawa Y, Yoshimura A, Tanida M, Tsuda M, Iwasaki Y, Kanai T.
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Journal Title
Nature Microbiology
Volume: 585
Pages: 591-596
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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