2020 Fiscal Year Research-status Report
エタノール放出発熱ポリマーによる微小肺癌のMRIガイド下注入硬化治療法の開発
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20K20385
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
島田 順一 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (60315942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エタノール放出ポリマー / 固形癌治療剤 / 局所硬化療法 / 超高磁場MRI / 非磁性針 / 高マンガンステンレス鋼 / 遷移性金属触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27-28年度挑戦的萌芽研究での基礎的検討の研究結果を踏まえて、MRI環境下での使用を念頭にポリマーのさらなる改良と周辺の医療器材の開発を達成するこ とで、将来の実臨床応用への道を拓きたい。高齢者や耐術能の低い患者に「初期の微小癌を「エタノール放出発熱ポリマー」の重合時に出るエタノールと熱で微 小がんに細胞障害を惹起し、樹脂でカチカチに固めて局所に物理的に孤立せしめ制御する」方法論を着想した。日本の特許は取得済みで、研究アイデアの新規性 は認められている。さらに国際的な成果とするため、米国、中国の特許権取得の交渉中である。固形癌治療剤については、東亞合成㈱との検討で、反応温度が60℃くらいと高く、硬化速度も速い樹脂の組み合わせを見出すべく、第17世代の樹脂の試作合成を試験中である。固化の状態はマイクロCT装置を現有する名古屋大学の森健策教授の協力で、ラット肺を1ミクロン単位でのCT撮影により、樹脂の肺内での効果状況を3次元のDICOM画像データとして解析し、その知見をもとに、学内の動物実験倫理を遵守して東京芝浦臓器から「ブタ肺」を購入し、硬化樹脂を研究開発した混合ノズルを用いて、肺の臓側胸膜直下に注入し硬化巣を形成せしめた。その硬化した樹脂のなかの硬化状況をマイクロCTで撮影しHE組織染色とあわせて評価検討してきた。「MRIの特徴である放射線被曝がないこと、非侵襲性であること」は大きな利点であり、当該樹脂のMRI造影効果を増加させるべく、ガドリニウムの逆ミセル混入方法などを考案し、現在、実験中である。「外来のMRI手術室で、小さく見つかった腫瘍を的確に固めて動けなくして、局所治療して、日帰りする。」ことを現実化するために、臨床応用を想定した樹脂の操作性の向上のためMRI下で使用できる冶具や安定した樹脂混合注入を実現する装置類の開発、IVR環境下での動物実験が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍で、研究開発への企業側の協力関係の構築が、とどまったことが大変大きい。本研究は、将来の臨床応用、社会実装をめざした医工連携型の研究テーマであり、人体に適用できる樹脂の合成を本学の医学部の単科大学で実現できないため、当該分野の有力企業の協力は必須である。しかしながら、コロナ禍で東亞合成の名古屋の研究所の実稼働も止まり、樹脂開発担当の研究者との連絡もままならなくなった。面談、会議も2020年9月ごろまでは ZOOMなどもINETのセキュリティの確保の問題点から、ままならなかったため、静止状態であった。10月ごろよりZOOM会議なども可能になり、樹脂の改良とともに、研究会議も進めることのできる体制になった。温度環境により、樹脂の硬化速度と硬化状態は大きな変化をうけるので、大動物である生体ブタの実験を考えていたが、これも、コロナ禍で神戸の民間動物実験施設も休業閉鎖となっており、「動物実験全般」は再開の見込みが立たない。また、コロナ禍で、2020年4-8月頃は、民間の中小企業も、休業状態に陥ったところも多く、試作開発を依頼しようとしても、複雑で手の込んだ試作について相談できる企業がなく2液の混合を安定して実現できる「油圧注入装置の開発」については未達で、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2液混合の固形癌治療剤については、東亞合成㈱と海外の体内注入用の樹脂などを解析し、医療用の生体材料の最前線を把握しつつ、MRIで可視化でき、かつ、37℃近辺で肺内で直径1センチに固めることのできる樹脂の組成を決定する。知的財産権については、この補助金事業の前事業の萌芽研究の前に申請した、固形癌治療剤の特許権取得を、日本国取得に続き、「米国」「中華人民共和国」の2国での成立を急ぎたい。2液混合の注入の操作を一定化するため、MRI下での使用を念頭に、注入装置のシステム開発を完了し、大動物での臨床モデルのコンセプト実証のできる全体システムの構築を完了し、次世代の臨床使用への各種要件を企業とともに検討し、国際的な知的財産権の確立の上で、企業主導の医工連携開発事業への応募を通じて社会実装をめざしたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍で、研究開発への企業側の協力関係の構築が、とどまったことが大変大きい。本研究は、将来の臨床応用、社会実装をめざした医工連携型の研究テーマであり、人体に適用できる樹脂の合成を本学の医学部の単科大学で実現できないため、当該分野の有力企業の協力は必須である。しかしながら、コロナ禍で東亞 合成の名古屋の研究所の実稼働も止まり、共同研究の企業側の体制の判断をする東京の本社の機能も限定的となり、面談、会議も2020年9月ごろまでは ZOOMなどもINETのセキュリティの確保の問題点から、ままならなかったため、静止状態であった。これにより、2液の混合系の樹脂の開発が大きく遅れることになった。 また、2020年4-8月頃は、民間の中小企業も、休業状態に陥ったところも多く、試作開発を依頼しようとしても、複雑で手の込んだ試作について相談できる企業がなく2液の混合を安定して実現できる「油圧注入装置の開発」については未達成である。 次年度使用額の380万円のなかで、2液の最終組成の確定と注入装置を試作開発し、コンセプトを実証できる系を完成させたい。
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[Journal Article] Safety and reliability of computed tomography-guided lipiodol marking for undetectable pulmonary lesions2020
Author(s)
Kazuhiro Ito, Junichi Shimada, Masanori Shimomura, Kunihiko Terauchi, Motohiro Nishimura, Masashi Yanada, Yasushi Iwasaki, Yasuo Ueshima, Daishiro Kato, Hirofumi Suzuki, Masayoshi Inoue
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Journal Title
Interactive CardioVascular and Thoracic Surgery
Volume: 30
Pages: 546-551
DOI
Peer Reviewed
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