2020 Fiscal Year Annual Research Report
高感度ペプチドミクス技術を応用した疾患バイオマーカーの探索・同定
Project/Area Number |
20K20389
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
七里 眞義 北里大学, 医学部, 教授 (10206097)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 教授 (60265733)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | バイオマーカー / ネイティブペプチド / 血漿ペプチドーム / 生理活性因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト血漿を高精度精製したのちLC-MS/MSを用いた解析によって出力された質量データファイルをデータベース検索を行って同定された数多くの配列情報を新たなネイティブペプチドデータベースとしてプロテオーム質量分析データのリポジトリであるPRIDEに登録し公開した。これらの配列情報を用いて、疾患バイオマーカー、および新規生理活性ペプチドホルモンの同定研究を行った。 バイオマーカー探索研究では有力な3つの因子を同定した。ネイティブペプチドの網羅的な同定プロセスの中で、ヒト血液中蛋白の酸化メチオニンが安定的に定量できることが明らかとなり、安定同位体を用いた定量法を開発し、鋭敏な酸化ストレスバイオマーカーを同定した。さらに、ヒト循環血中にはアルブミンの断片ペプチドがきわめて多数存在することが明らかになり、微量アルブミン出現例では肝における蛋白合成量が増大することから、心肥大や心血管疾患誘発性蛋白が、重要な心疾患発症予測因子となりうる可能性を見出した。また、現在、臨床的に有用な体液量予測因子が全くない中で、血中プロレニンがその候補として解析が可能な状況となりつつある。プロレニンプロセグメント領域ペプチドに対する特異的抗体の作成に成功し、その正確な血中濃度、および循環血中分子型の同定に成功した。 次に、新規生理活性ペプチドホルモンの同定研究では、スプラバシンを共通の前駆体蛋白とする、三つの新規生理活性因子を同定するに至った。うち2つは血管平滑筋細胞に対してNF-κB経路を活性化して種々の増殖因子、サイトカイン、ケモカインを誘導するユニークな作用を有する内因性因子であり、残りの一つは、強力な末梢性摂食抑制性ペプチドホルモンであった。以上から、本研究で開発した「ヒト血漿ペプチドーム」が、未知の生理活性因子や臨床バイオマーカーを探索・同定する有用な研究手法であることが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)