2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the highly precise examination method using saliva to assess periodontal health
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18H05387
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天野 敦雄 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50193024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00303983)
坂中 哲人 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (90815557)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 歯周健康検査 / 唾液検査 / ポリアミン / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
ここ数年の間に質量分析装置を使用した代謝解析は広く生命医科学の分野に浸透し,唾液を用いた代謝物解析に関する論文数も徐々に増加してきている。そんな中、Liebschらは909人の被験者を対象に歯周病進行度と唾液代謝物の相関を検証(J Dent Res, 2019)し,いくつかのアミノ酸分解産物に関して,我々が過去に行ったより少ない被験者を用いた臨床研究を支持する結果を得ている。このことは再現性の危機が叫ばれる昨今の研究環境において,我々の研究の妥当性を外部から確認するとともに,本研究の意義を高めるものと思われる。
本年度は,既に最適化作業が終了した唾液から安定的にポリアミン類を一斉検出する技術を実際の臨床サンプルに適応し,Periodontal Inflamed Surface Area(PISA)で表される歯周病重篤度や,BMIやHbA1cなどの全身的な健康指標との相関を分析し,既にいくつかの予備的知見を得ている。
まず同じ被験者を縦断的に観察した結果,唾液中のポリアミン類は歯周病重篤度と共変動することが示された。また全身のパラメーターを用いた解析から,唾液中にHbA1c値と正あるいは負の相関を示す代謝物群を見出した。現在これらの物質が血糖状態を反映するバイオマーカーとなり得るか検証を進めるとともに,歯周病と糖尿病の重篤度に対して共変動する代謝物,あるいは特有の変動を示す代謝物群を探索し,歯周病と糖尿病をつなぐ連関解明に向けて取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に、HbA1c値と正あるいは負の相関を示す唾液中の代謝物群を見出した。現在これらの物質が血糖状態を反映するバイオマーカーとなり得るか検証を進めるとともに,歯周病と糖尿病の重篤度に対して共変動する代謝物,あるいは特有の変動を示す代謝物群を探索し,歯周病と糖尿病をつなぐ連関解明に向けて取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周病重症化の有力なマーカー候補である唾液ポリアミン類の迅速・簡便な検出装置の開発に向けて、ポリアミンと選択的にアミド化反応を起こすプロパルギルエステル等を用いたスクリーニングキットの開発に本格的に着手する。最終的にはそれをヒト集団に応用して歯周健康診査を行い、歯肉炎症レベルに対する診断能を評価する。一方で昨年度までに、大阪大学医学部付属病院に入院中の糖尿病患者と健常ボランティアを対象に糖尿病・歯周病・動脈硬化に関わる種々の臨床指標を評価すると同時に、血液・唾液・歯垢サンプル中に含まれる生体内代謝物のプロファイリングが終了している。現在解析を進めているが、既にいくつかの興味深い結果を得ている。本年度は論文化を目指し解析・検証を進めると同時に、近年、心血管系の健康度との関連が示唆されている唾液硝酸還元能の測定を新たに行い、それが唾液・血液代謝物や、生活習慣病に関する指標とどのように関わるかを評価し、唾液を用いた前例のない健康評価法の可能性を探る。
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Research Products
(20 results)