2019 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞の分化を司る組織常在型M3マクロファージとそのマスター転写因子の同定
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18H05388
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
小林 泰浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20264252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (10367617)
村上 康平 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (60791837)
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90434480)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 骨折治癒 / 骨芽細胞 / 組織マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
1)骨折治癒過程において骨・軟骨に出現する組織Mφの役割の解析:通常の骨折モデルでは、損傷の程度を一定にすることが難しいため、治癒過程にばらつきが認められた。そこで、注射針で皮質骨に骨欠損を作製した。この皮質骨損傷モデルは、解析時のばらつきが小さく解析に適していた。クロドロネートリポソームの投与によりマクロファージを除去し、骨損傷治癒を観察した。クロドロネートリポソームの投与により、骨髄中のF4/80陽性マクロファージが顕著に減少した。また、マイクロCTで骨再生を解析した結果、クロドロネートリポソームを投与した群では、顕著に骨再生が遅延した。新生骨が減少した。この結果は、新生骨形成過程において、F4/80陽性マクロファージが重要な役割をすることを示唆する。 2)骨損傷治癒過程における骨髄間葉系幹細胞の動態解析:骨髄間葉系幹細胞の細胞動態を観察するため、LepRCre:TdTomatoマウスを作出した。このマウスの皮質骨損傷後の治癒過程を観察した。損傷後1日目では、LepRCre:TdTomato陽性間葉系幹細胞が一過性に減少したが、2日後には、損傷前よりも増加した。LepRCre:TdTomato陽性間葉系幹細胞は、F4/80陽性マクロファージと近接していた。 3)骨損傷治癒過程におけるWntシグナル活性化細胞の動態:Wntシグナル活性化細胞を検出するため、Axin2Cre-TdTomatoマウスを作出した。骨損傷2日後では、Wntシグナル活性化細胞は、損傷部位近傍の皮質骨内部に認められた。骨損傷7日目では、骨損傷部位から骨髄の広範囲にWntシグナル活性化細胞が分布した。 4)骨損傷治癒過程におけるRANK陽性細胞の動態解析:RANK陽性細胞を検出するため、RANK-Cre:TdTomatoマウスを作出した。RANK陽性細胞はF4/80陽性細胞に比べて、顕著に少ないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 骨損傷モデルを確立したことにより、解析が進んだ。クロドロネートリポソーム投与により、マクロファージを除去したマウスで、骨損傷治癒が遅延することが認められた。 2)間葉系幹細胞の増加が骨損傷治癒に関与していることが示された。さらに、Wntシグナルが活性化されている可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
クロドロネートリポソームは、貪食能を持った様々な種類のマクロファージを広範に除去する。クロドロネートリポソームで除去されるマクロファージの中に間葉系幹細胞の分化を司る組織マクロファージを同定する。マクロファージと間葉系幹細胞がやり取りする細胞間シグナルを明らかにする。
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