2018 Fiscal Year Annual Research Report
視覚的質感解析に基づく触覚的質感特徴抽出 ー光沢から触り心地を推定するー
Project/Area Number |
18H05394
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田中 弘美 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10268154)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 質感認知 / 質感再現 / 視触覚的質感 / 触覚的質感 / 高解像度画像解析 / 摩擦特徴抽出 / VR触察体験 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.高解像度多視点多重露光画像計測システム改良:既存の画像計測システムは,1眼レフカメラを用いて高分解能撮影しているが,メカニカルシャッターにより撮影速度が圧倒的に遅く,光源は1軸のみの制御で,多重露光による反射光計測に膨大な時間がかかっていたため, 新たに産業用カメラ(3.45μm/色数12bit 4096諧調カラー)と拡大レンズ(テレセントリックレンズ(1画素サイズは,3.45/8=0.43μm,倍率×8/長さ約10cm)を用いて改良した. 2.BTF画像計測による表面微小構造と光沢(鏡面反射)特性抽出:金属,紙,ゴム,織物等の材質を対象に, 改良画像計測システムにより光沢(鏡面反射成分)の画像計測データを獲得し,光沢の質感を表す鏡面反射成分の強さや広がりを表すspecular lobeに,異方性反射モデルをフィッティングし光学特性パラメータを抽出する方法を検討した. 3.表面微少構造と触察加重による変形を基準とした材質の分類:光沢(鏡面反射光)解析により得られた材質の微少面のspecular lobeの大きさや形状と,指腹軟度を基準として材質を分類する方法を検討した. 4.指軟組織より硬い金属類および剛体材質の摩擦係数/摩擦力推定:金属表面では入射光はほとんど内部に透過せず反射するため, 金属および硬い物体を対象に,観測不可な真実接触面積を必要とせず,硬さを既知とした場合と近似した場合の触察時の摩擦係数の推定式を考案した.推定式の評価するために,風合い計測装置(KESシステム)による実測摩擦係数データと比較して,提案式の有効性を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・既存の画像計測システムを,新たに産業用カメラ(3.45μm/色数12bit 4096諧調カラー)と拡大レンズ(テレセントリックレンズ(1画素サイズは,3.45/8=0.43μm,倍率×8/長さ約10cm)を用いて改良し,可能な範囲での精度評価を既に完了している.評価が不十分であった部分については,自前での計測による評価の準備を進めている. ・金属,紙,ゴム,織物等の材質を対象に, 改良画像計測システムにより光沢(鏡面反射成分)の画像計測データを獲得し,光沢の質感を表す鏡面反射成分の強さや広がりを表すspecular lobeに,異方性反射モデルをフィッティングし光学特性パラメータを抽出する方法を提案し,学会・研究会・国際会議にて発表した(H 30年度研究業績参照のこと). ・光沢(鏡面反射光)解析により得られた材質の微少面のspecular lobeの大きさや形状と,さらに,VR触察体験の実現のために,触察において指腹が変形するか否かに注目した,触察加重(約50㌘重)と指腹軟度を基準とした材質を分類する方法を開発し,検証を進めている. ・視覚情報と織物材質(力学特性)の関係を機械学習の手法で解明することが,研究課題の目標達成に必要不可欠であると認識し,新たに分担者を追加し,画像・映像とディープラーニング手法を用いた織物の力学特性を推定する研究に着手した. 以上から,概ね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
・指腹(指軟組織)より硬い金属類および剛体材質の摩擦係数/摩擦力推定:摩擦力は真実接触 面積とせん断応力の積で示され,真実接触面積は表面粗さと剛さにより決まることから,表面粗さ推定値と金属類の硬さ(ヤング率)を既知として,触察時の摩擦係数推定する方法を評価する.風合い計測装置による実測の摩擦係数と比較する等の実験的な検証を通繰り返し,提案式の有効性とかたさの影響度を評価する. ・ゴムの摩擦係数/摩擦力の推定:ゴムのような粘弾性物体の触察時に生じる摩擦力は,表面の微小な突起の弾性変形と凝着によって生成される真実接触面積に影響される.接触面を計測することは極めて困難であるため,硬度と表面加工法が既知であるシリコンゴムサンプルセット((株)共和工業製)を用いてゴム硬度の増加に対する非接触状態の表面粗さと摩擦係数の相関等を解析し,弾性接触理論と凝着に基づく解析より摩擦係数推定式を考案する. ・織物の摩擦係数/摩擦力の推定:織構造に基づく糸の浮き沈みによる凹凸,糸の太さや領域,糸の材質の曲げ剛性等に基づく,BTF画像解析より抽出される織物表面の微少構造の幾何的特性に基づく触察時の摩擦係数の推定式を検討する. ・視覚情報と織物材質の関係をモデリングするend-to-end深層モデルの開発を目指し,(1)データの収集及び,(2)深層特徴の特性に関する予備実験を行う.(1)に関しては,20種類の織物のグランドトルースとなる摩擦係数及び単位重量などの属性を専用デバイスにより測定する.また,推定対象として用いる予定の織物のモーション映像を深度カメラを利用して収集する.(2)に関しては,異なるアーキテクチャーの深層モデルの特徴抽出性能,及び特徴抽過程において入力サイズ変化,特徴抽出層の選択,画像・フィルタの回転など操作の影響を,実験により定量的な評価を行う.
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