2020 Fiscal Year Research-status Report
視覚的質感解析に基づく触覚的質感特徴抽出 ー光沢から触り心地を推定するー
Project/Area Number |
20K20399
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田中 弘美 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10268154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 ジェーン 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70251882)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 質感表現 / 質感再現 / 視覚的質感 / 触覚的質感 / 高解像度画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の三原組織織物(平織・綾織・朱子織)を対象とした触覚的質感情報(KESによる風合い計測値(摩擦係数/曲げ剛性)),視覚的質感情報(BRDF(双方向反射率分布関数)/3次元微視的幾何構造)の相関解析結果に基づき,今年度では織物の視覚的質感情報から摩擦力および摩擦係数の推定モデルの構築に取り組んだ. 推定モデルでは柔軟物である指腹と織物表面の接触面積が必要である.接触面積は織物の表面粗さだけでなく,織物が柔らかいほど表面が変形して増加する傾向があるため,硬さの推定も必要となる.前年度における解析より,織物の曲げ剛性は糸の屈曲と相関があることから,織物のBRDFから推定されたマクロな表面粗さの他に,高分解能多視点多重露光画像計測によって得られたBTF(双方向テクスチャ関数)より,各画素における反射分布に対してTorrance-sparrowモデルによるフィッティングを行うことで,織物表面の微視的幾何構造によるファインな表面粗さと法線を推定し,法線情報を用いて糸の屈曲を抽出した. 織物の視覚情報から触覚情報(例えば,触り心地のよさ)を推定するプロトタイプシステムの構築を目標として,ペアワイズの比較による人の主観的指標または触覚センサによる客観的計測を行うため,VRのヘッドマウントディスプレイを用いた織物(能装束)のVR触察体験を,Unityを使って構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・前年度の触覚的質感情報と視覚的質感情報の相関解析結果(織物の曲げ剛性と糸の屈曲に相関がある)に基づき,織物のBRDFから推定されるマクロな表面粗さに加え,高分解能多視点多重露光画像計測によるBTF(双方向テクスチャ関数)から、糸表面の微視的幾何構造によるファインな表面粗さと法線を抽出し,新たに微視的幾何構造に基づく糸の屈曲を抽出する方法を提案した. ・糸の屈曲から曲げ剛性算出へのモデル化のための織物の触覚的質感情報が不十分なため,特殊なデバイスによる計測(光学計測・風合い計測)や必要であったが,昨年から続いている新型コロナによるテレワークを主体とする環境では,これらの計測実験等を進行することが困難な状況であった. ・織物の視覚情報から触覚情報(例えば,触り心地のよさ)をend-to-endの深層学習モデルに基づいて推定するプロトタイプシステムを構築することを共同研究者と検討し,それを進めるためには膨大な織物データセットの拡充とグランドトゥルースの追加(ペアワイズの比較による人の主観的指標または触覚センサによる客観的計測と想定)が必要であったが,昨年から続いている新型コロナによるテレワークを主体とする環境では,これらの主観評価実験等を進行することが困難な状況であった. 以上から,進捗状況はやや遅れていると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
三原組織織物を対象とした触覚的質感情報(KESによる風合い計測値(摩擦係数/曲げ剛性))と, 視覚的質感情報(BRDF(双方向反射率分布関数)と3次元微視的幾何構造)の解析結果から,糸の(視覚的)屈曲より(力学的)曲げ剛性を推定することで,指腹と織物表面の接触面積および摩擦力の推定の可能性が示唆されている.そこで本年度では,実験等リモート研究環境を整備し,織物の視覚的質感情報から摩擦力および摩擦係数の推定モデルを構築する研究を進める. ・織物の視覚的質感情報を計測に関しては,現状研究室内の光学計測器を使用しており在宅環境では扱えないため,昨年度購入した小型のロボットアーム制御による計測環境を構築し,在宅でも計測可能にする. ・摩擦力を推定するためには接触面積を導き出す必要があり,接触面積は織物の表面粗さが小さく柔らかいほど増加する.そのため,前年度における糸の屈曲と糸の剛性の相関とヘルツの接触理論を用いた指腹と織物表面の接触面積の算出法に基づく摩擦力推定モデルを提案し,その評価を行う. ・織構造,糸の屈曲よる曲げ剛性,指腹と織物表面の接触面積等から推定された摩擦力および摩擦係数を用いる,触覚シミュレーションの構築を検討する.
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Causes of Carryover |
糸の屈曲から曲げ剛性算出へのモデル化のための織物の触覚的質感情報が不十分なため,特殊なデバイスによる計測(光学計測・風合い計測)等が必要であった. 現状では,光学計測機器は研究室内に設置されているため,昨年から続いている新型コロナによるリモートワークを主体とする研究環境では,これらの計測実験等を推進することが困難な状況であった. そこで,本年度はリモート研究環境を整備し,昨年度購入した小型のロボットアーム制御による計測環境をリモートで構し,在宅でも計測実験等を可能にし,織物の視覚的質感情報から摩擦力および摩擦係数の推定モデルを構築する研究を進める.使用計画は以下の通りである. 研究員の人件費・・・2,000,000円 ,実験用リモート環境機器・・・300,000円 ,ムービー制作費・・・500,000円 論文投稿料・・・150,000円 ,その他・・・125,000円
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