2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K20404
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡村 昌宏 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 客員研究員 (80332245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一匡 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (10707475)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中性子 / リチウムビーム / RFQ / レーザープラズマ / BNCT |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナウイルスの影響を大きく受け、予定されていた研究を完成させるに至らなかった。当初の予定では長岡技術科学大学で製作したリチウムイオン源を理研BNLセンター設置の加速器に設置し実証実験を行う予定であった。年度初めの段階ではチェコの原子物理研究所からの研究協力者も2名参加し実証実験の準備が順調に推移していた。しかしながら4月に入って理研施設への立ち入りが困難となり、更に国間の移動も困難になることが予測されたため、チェコの研究者は帰国せざるを得なくなり、長岡からの実験参加も不可能となった。以下、長岡技術科学大学、理研での本年度実績を述べる。 長岡ではリチウムイオンの分析装置を完成させ、リチウムイオンプラズマの基礎データを更に蓄積することができた。更にリチウムを加熱液化し、真空中で循環できる装置のプロトタイプを製作した。このプロトタイプを用いて、オイル等や合金流体からレーザープラズマを発生させる検証実験を行うことができた。コロナウイルスの影響で実験が大きく中断し、リチウムを使った実証までには到達できなかったが、多くの基礎的なデータを得ることができた。 理化学研究所では実証実験の準備として、レーザープラズマの拡散制御用ソレノイドの電源の増強、RFQ加速器で加速されたビームを計測装置まで運ぶための収束レンズの増強、補正磁石の開発を行うことができた。しかしながら、研究期間の大半はシミュレーション等を主体としたものとなった。例えば、ビームの取り出しに関する最適化、電極間印加電圧の加速ビームに対する影響等について考察した。更に、リチウムビームを使った陽子標的をプラスチック、チタンハイドライト、気体の3種類について検討を行った。すでに確率してる加速器技術を組み合わせて、原理的な加速ビーム電流値の限界を探る作業を現在行っている。 研究者の自由な移動が再開されれば、直ちに実験を再開したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度の初めからヨーロッパ、アメリカ及び日本間での人的移動が厳しくなる兆候が見られた。さらに4月後半から実質的な国外への移動が不可能となり、さらに国内での移動も大きく制限される事態となっている。本研究は理研BNLセンター、長岡技術科学大学を核とし、チェコ原子物理研究所、ブルックヘブン国立研究所の協力研究者と協力して遂行している。研究者の往来や実験機材の統合などが実質的に不可能な状況が依然として続いている。このような状況下において、研究を推進するためにスカイプやズームを使ったミーティングを週2回程度のペースで継続している。シミュレーションや設計研究においては当初の予定になかった領域にまで対象を拡大することができた。来年度ではこれらの成果を誌上発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当面の間はビデオ会議を軸とし、最小限の実作業で装置の完成を目指す。本研究をベースとして2本の誌上発表を行う事を目標に執筆を分担し、作業を進めている。 研究者の国をまたがっての移動ができるようになれば、直ちにリチウム3価ビームの加速実証実験を行う予定である。これを目指して、長岡技術科学大学ではイオン源を完成させる。理化学研究所では新たなビーム収束ラインの増強を終了させる。年度の後半には理化学研究所(和光)で国際的なワークショップを開催する準備を勧めている。 ただし、更に先行きは不透明であることを踏まえて、人的交流が実質的にできない事態にも対応した計画も必要である。リチウムイオンの発生部分を担う装置は長岡からニューヨーク州へ送ることができるが実際の装着や運転はネット回線を駆使して現地での作業を長岡から指示できる状態で作業を進める必要がある。リモートでどれほど有機的に実験が進められるかを現在模索中である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で旅費の執行が不可能であった。また、装置の運送費用等も執行できていない。研究の最終段階である加速実証実験に際して、ビーム診断装置の導入も部分的に滞っている。旅費以外は当初の計画を執行する予定である。ただし、旅費や国際会議開催については、コロナウイルスの収束を確認する必要があり、現時点では未定である。
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Research Products
(11 results)