2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K20404
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡村 昌宏 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 客員研究員 (80332245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一匡 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (10707475)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中性子 / リチウム / RFQ / レーザーイオン源 / BNCT |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に続き本年度もコロナウイルスの影響を大きく受け、研究を完成させるまでには至らなかった。当初の予定では長岡技術科学大学で製作したリチウムイオン源 を理研BNLセンター設置の加速器に設置し実証実験を行う予定であったが実現していない。チェコの原子物理研究所からの研究協力者も2名は理研施設への立ち入りが困難な状況が続いた。 研究拠点間の人及び物の移動が制限されていることから、シミュレーションを中心とした研究活動を行った。週2回のオンラインミーティングを行い、現時点までに得られている実験結果を基に論文を執筆した。インバースキネマティクスによる中性子発生の利点を整理し、実験装置の系統的な説明を試みた。また測定されたデータを解析し、加速ビームに含まれている可能性のある酸素や窒素イオンの比率を導き出した。これらの定量的な検討を通して、本研究で得られた知見が世界最高強度のリチウム3価ビーム加速を可能にしたことが証明できたと考えている。すでに論文は投稿され査読の手続きに入っている。この論文に加えて、シミュレーションで得られた検討結果から、更に高強度のリチウムビームが加速できる事が示された。そこで、現時点で得られるテクノロジーを組み合わせてどの程度の強度が達成できるかを議論している。これまでに確立したシュミュレーション技法を使うと200ミリアンペア以上の電流値が得られる事を核として次の論文の執筆に着手している。 パンデミックによって生じた困難から新たな展開を生み出しつつあるといえる。 研究者の自由な移動が再開されれば、直ちに実験を再開したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は理研BNLセンター、長岡技術科学大学を核とし、チェコ原子物理研究所、ブルックヘブン国立研 究所の協力研究者と協力して遂行している。研究者の往来や実験機材の統合などが実質的に不可能な状況が依然として続いている。このような状況下において、 研究を推進するためにスカイプやズームを使ったミーティングを週2回程度のペースで継続している。シミュレーションや設計研究においては当初の予定にな かった領域にまで対象を拡大することができた。実験的研究では遅れがみられるが、論文執筆とシミュレーション研究については大きな進展が見られることから、トータルではおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者の国をまたがっての移動ができるようになれば、直ちにリチウム3価ビームの加速実証実験を行う予定である。これを目指して、長岡技術科学大学ではイ オン源を完成させる。理化学研究所では新たなビーム収束ラインの増強を終了させる予定である。すでに新しい4重極電磁石のコイルが制作されビームラインに設置する準備を開始した。ビーム軌道修正用の電磁石も制作を終わり設置作業がすすんでいる。 年度の後半には理化学研究所(和光)で国際的なワークショップを開催す る準備を勧めている。 ただし、更に先行きは不透明であることを踏まえて、人的交流が実質的にできない事態にも対応した計画も必要である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で旅費の執行が不可能であった。また、装置の運送費用等次年度に計上される。研究の最終段階である加速実証実験に際して、ターゲットや光学部品用の予算を確保する必要があった。。旅費以外は当初の計画を執行する予定である。国際会議開催については、コロナウイルスの収束を確認する必 要があり、現時点では未定である。
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Research Products
(5 results)