2021 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性患者の視界を改善するコレクト/コンプリメント・リアリティ(CR)技術
Project/Area Number |
20K20408
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
茅 暁陽 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20283195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤代 一成 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00181347)
柏木 賢治 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30194723)
郷 健太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50282009)
豊浦 正広 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80550780)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 変視症 / Corrected Reality |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性症(AMD,Age-Related Macular Degeneration)は,年齢を重ねるに従って網膜の中心に位置し視力の中核的機能を担う黄斑に異常が生じ,ものが歪んで見えたり(変視),視界の中心部が暗くなったり(中心暗点), QOV (見え方の質,Quality of Vision)が著しく低下する病気である.本研究では,患者自らが身近なPC・携帯端末等を用いて自身の症状を手軽に検査でき,その結果に基づいて,日常生活の場面ごとに個人の視覚特性に合致したコンテンツを提示することにより,視野の歪みを軽減し,欠損した情報を補い,患者のQOV ひいてはQOL まで大幅に改善させられるような情報工学技術の提案を目的とする.本研究は,A:視界特性同定,B:視界矯正/補完,C:症状-病態の相互予測の3 部から構成されている. 令和3年度は視界特性を手軽に検査できる方法として映像視聴時の患者の視線を利用する方法を提案した.視野欠損があるユーザは映像視聴時に特異的な視線移動パターンを示すことに着目し,視線移動量(MA)と呼ばれる新しい尺度を定義し,半盲やトンネルビジョンなど,いくつかの典型的な視野欠損症状をシミュレーションで再現し,正常視野との比較実験を行い,MAにより視野特性をある程度予想可能であることを示した.その結果を踏ま,生成ニューラルネットワークを用いて視線データから病態を推定する技術に関する基礎的な検討も行った.視界矯正/補完については,令和2年度までに開発した視線連動型補償方法では, アイトラッカーの誤差により,補償効果が十分得られないことに加え,モーションシックを起こしやすいという問題があることに着目し,複数の歪みマップを一定間隔で画像に適用し,補償画像を事前に生成する方法を提案・実装し,読書タスクにおける視覚的歪みの補正に有効であることを実験により示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調書記載の計画通りに進んできている。その成果として令和3年度中に国際学術誌4篇と国際会議論文1篇が採択された.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題A:視界特性同定について,線変形操作による計測は高齢者にとってはやはり負担が大きいという問題を解決するために,令和3年度は進化的アルゴリズムによる視界特性同定アルゴリズムの予備実験を行った.実験結果として,従来コンテンツベース画像検索分野で利用されていたOptimal Path Forest(OPF)に基づくRelevance Feedbackアルゴリズムでは,ユーザが自動生成した複数の曲線候補に対して数回の評価を行うだけで一定精度の検査結果に収束することができることが分かったため,令和4年度は当該アルゴリズムを視線追跡機能付きヘッドマウントディスプレイ上で実装し,実際の患者さんによる評価実験を通して,各種パラメータのファインチューニング及びユーザインタフェースの改善を行い,視界特性同定システムのプロットタイプを完成させる.令和4年度後半では,課題B:視界矯正/補完と課題C:症状-病態の相互予測に取り組む,まず,視界矯正/補完について,実装した視界特性同定プロトタイプシステムを用いて測定した歪みマップを用いて,令和3年度まで開発した2種の視野補正アルゴリズムを検証し,必要に応じて改善を行う.特にこれまで未対応であった高周波を含む歪みの補正方法についてはローバスフィルタリングの併用など,新しい補正方法の検討も行う.そして,症状-病態の相互予測について,症状―病態の相互予測のための視界測定データ及びOCTデータの収集を行い,予測モデル及びデータ拡張方法の検討を開始する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大により,令和3年度では,患者を対象とする実験及び国際会議への参加ができなかった.R4年度前半はまず外来患者から協力者を募り,実験を実施し,新型コロナウィルス感染症が終息次第,入院患者の協力も得て,本格的な評価実験を実施する予定である.また,国内外の学会にも積極的参加し,成果の発信を行う予定である.また,課題Cへの取り組みの一環として,各種生成ニューラルネットワークのテストとその結果を踏まえた専用ネットワークモデルの設計を行う.
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Research Products
(8 results)