2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K20420
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 文人 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (60333647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 誠 北海道大学, 高等教育推進機構, 名誉教授 (60322856)
岩間 徳兼 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (70608900)
飯田 直弘 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (80578063)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 質問力評価 / テスト開発 / 信頼性 / 妥当性 / 実用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
質問力を測定するテスト問題を大問で3問、それぞれ小問を3問、開発した。大問1は糖尿病に関する資料、大問2は環境問題に関するデータ、大問3は食糧問題に関するデータ、をそれぞれ題材とし、教科や科目に依存しないSDGsに絡んだ内容とした。小問1は帰納推論の不備を問わせ、小問2は演繹推論の不備を問わせ、小問3は仮説推論の不備を問わせる課題であり、論理の正確性をどれだけ問えるかによって質問力を評価する。このテスト問題を、前年度末に、探究学習を重視している4つの高校の1、2年生約200名に対して試行した。うち180名から有効な解答が得られた。 今年度はこの解答データを分析し、各高校にフィードバックするとともに、テスト問題の改善策について検討を行った。テスト問題については、解答データに基づき、信頼性、妥当性、実用性の観点から分析した。信頼性に関しては各設問と合計点との間の信頼性は見られたものの、測定誤差が大きいことがわかった。妥当性に関しては質問力以外の影響の排除が課題である。また実用性に関しては採点方法の改善が課題である。高校からの感想として、今回のテストの得点が高い生徒は必ずしも一般的な学力試験の得点が高いわけではなく、授業以外のことに好奇心が高く、探究心が旺盛であった。その意味で、本テストは探究力を測定し得る可能性がある。最も大きな課題は、設問あたりの一人当たりの質問数が3個未満と少ないことである。高校から、質問の仕方がわからないという感想が多数寄せられた。今後は質問の仕方を育成することも踏まえた質問力テスト課題を開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ禍でテストの試行がやや遅れたものの、解答データの分析と今後の改善点の洗い出し、そしてテスト結果の高校へのフィードバックを予定通り行うことができた。しかしテスト問題の改善と再試行までには至らなかったが、3つの論理推論において問いが生まれる過程を考察・分析し、各過程ごとの質問力を問う設問と、それらを統合的に問う問題のサンプルを開発した。これにより、期間を延長することでテスト問題の改善と、その試行を行い、当初の研究内容を遂行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
3つの論理推論のそれぞれについて問いが生成される過程を明らかにし、各過程ごとに設問を作成することにより、受験者の質問を促すようなテストモデルを開発した。このモデルと各設問のサンプルに基づき、試行テストを開発し、再度、高校等へ試行し、結果を分析する。このような詳細なテストモデルを開発したことにより、前年度の課題であった、質問力以外の要素の混濁および採点基準の不整合性の解消が期待できる。前年度の試行テスト結果については論文や学会発表、全国各地の高校での講演などで公表してきたため、試行テストに協力してもらえる高校が増えるものと期待できる。解答データが増えることにより、より精度の高い検証が行えることが期待できる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍で前年度の試行テストの実施が遅れたことに伴い、テスト問題の改修と再試行が遅れたため、助成金の支出が滞ったため。ただし今年度中に、テスト問題の改修方針について詳細な計画を立てることができたため、1年間の期間延長により、次年度はテスト問題の改修と再試行を実施し、当初の研究内容を遂行できる見込みである。
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Research Products
(3 results)