2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K20420
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 文人 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (60333647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 誠 北海道大学, 高等教育推進機構, 名誉教授 (60322856)
岩間 徳兼 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (70608900)
飯田 直弘 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (80578063)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 質問力テスト / リサーチクエスチョン / 論理推論 / 創造性 / 授業評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度末に,問う力を測定するテスト問題を大問で3題開発し,探究学習に注力する4つの高校の1,2年生200名を対象に試行した。今年度前半は,このテスト結果の分析を行い,8月末に,協力していただいた4つの高校の探究学習の指導教員に対して報告会を行った。本テストは,信頼性および妥当性はテストとして耐えられるものであったが,小問一題あたりの,個々の受験者の質問が少なすぎたため,テストとしては不安定なものとなった。受験者からの感想でも,質問の仕方が分からなかったというものが多かった。 そこで後半は,質問の仕方を具体的に学ぶことのできる教育プログラムを開発した。問いの立て方を具体的に示した先行研究等はないため,オリジナリティの高い取り組みである。このプログラムを,探究学習を重視する1つの高校の1,2年生25名を対象に施行した。このプログラムでは,既存の知識を帰納推論により理解し,理解したことを演繹推論により結びつけて新しい探究のゴールを予測し,予測したゴールを実現するための方法を仮説推論し,この仮説をリサーチクエスチョンとして表現するというものである。この結果,受講者25名が作り出したリサーチクエスチョンはそれほど創造性があるものとは言えなかった。授業アンケートを分析したところ,3つの論理推論に関する理解が不十分であることが明らかになった。 次年度は授業プログラムを改善し,より多くの高校生等に本プログラムを受講してもらい,質問の仕方を習得した上で,質問力テストを受験してもらい,質問力テストの検証を改めて行う。その一方で,授業プログラムで創出されたリサーチクエスチョンの創造性を客観的に評価する方法を開発し,授業評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のゴールは,質問力を測定するAIを開発することとなっていた。このようなAIを開発するためには,質問力テストにおいて適切な質問を大量に取得する必要があった。しかし,質問力テストの試行により,探究学習に取り組む高校生でも質問を挙げることは困難であることがわかった。そこで,質問の作り方を具体的に学べる授業を開発し,試行した。来年度はこの授業を改善した上で,より多くの高校生に質問の仕方を習得してもらい,その上で高校生に質問力テストを受験してもらうことにより,適切な質問を十分に収集し,AIを開発できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
リサーチクエスチョンを創出する授業プログラムを改善し,受講した高校生等が,ある程度創造性があるとみなせるリサーチクエスチョンを創出できるようにする。次年度は新型コロナの影響もなくなる見込みであるため,この授業プログラムを全国のできるだけ多くの高校生に受講してもらった上で,質問力テストを受験してもらう。これにより,適切な質問をできるだけ多く収集することができ,これらの質問をAIに学習させることにより,本研究のゴールである,質問力を自動で測定するAIを開発することができる。 一方で,上述した授業プログラムの成果である,受講者により作り出されたリサーチクエスチョンについて,その創造性を客観的に評価する必要性が生じている。質問は基本的には命題を問う形式となる。つまり,「AならばBか?」という形式である。このAという概念とBという概念の間の距離が遠いほど,この質問は創造的だと言えるであろう。しかし,単に遠いだけでは机上の空論に過ぎず,現実に探求できない可能性もある。このような現実可能性は,Aという概念とBという概念をどれだけ論理的に説明できるかだと考えている。概念間の距離と論理性とを考慮した客観的な評価指標を開発する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍のため,道内外5校で予定していた本研究に基づく質問力育成研修プログラムが道内1校でしか実施できなかったため。次年度は本研修プログラムを道内外4校で実施する。
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Research Products
(9 results)