2019 Fiscal Year Annual Research Report
熱伝導下における一次転移:新しい現象の同定と熱力学の拡張
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19H05496
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々 真一 京都大学, 理学研究科, 教授 (30235238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 諭 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (20292899)
齋藤 一弥 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30195979)
中川 尚子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (60311586)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 熱伝導 / 相共存 / 熱力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱伝導下の一次転移に対して定量的な予言を与えることができる熱力学の拡張枠組み(大域熱力学)については、長い論文の出版となった。これまでモデル系での計算手続きしかわかっていなかったのに対し、様々な物質に対してデータベースから熱力学量を計算できる様々な公式を導くことに成功した。具体例として、1気圧の水の液体と気体の相共存状態に対して、界面温度が平衡系の転移温度から4度もずれることなどが分かった。 熱伝導下の一次転移を微視的力学において記述する枠組みについては、ゆらぐオーダ―パラメータ動力学のメソスケールで有効な模型の解析を行なった。定常状態において熱力学量を決める変分原理を定式化するところまでは間違いないと思われるが、具体的な計算について完全に納得ができず、最終結果には至っていない。極めて長い論文として投稿したが、再投稿には至っていない。特に、界面部分が特異的になっておりその扱いについて次年度に持ち越しになった。 数値実験については、圧力制御され、左右の境界で温度差をつけた系を実装し、定圧熱伝導下の気液転移が観測できるようになった。予備的結果では、界面温度は平衡転移温度から有意にずれていないことが観測された。 実験による精密測定については、測定に必要な購入を終え、準備が完了した。結露防止や正確な圧力測定の設計を終え、具体的な工作や配線にとりかかる。理論として水について定量的な予言ができたため、理論にあわせて水を対象にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調にすすんでいる。特に、大域熱力学の構築は想像以上の進展となった。微視的理論、数値実験、実験による精密測定ともに着実な進展している。以上により、概ね順調にすすんでいる、と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を引き続き進展させる。
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