2019 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性シルクタンパク足場材料の創成と3D印刷による細胞培養用プレートへの応用
Project/Area Number |
19H05504
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
成田 史生 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10312604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 大樹 東北大学, 工学研究科, 助教 (40643226)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 材料力学 / 三次元印刷 / 有限要素解析 / 生体材料 / 複合材料 / ポリマー/プラスチック / 力学機能 / シルクタンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
生体材料は周囲の力学機能との調和が必要であることが報告されている.また,人間の体を構成する組織は極めて複雑で,その模倣が困難である.さらに,患者の負担を考えると,完治後の材料取り出しのための手術がない方が望ましい.したがって,将来の生体材料には,力学特性が自在に制御可能で,加工・成型の幅が広く,生体吸収性を有する材料の創製が不可欠である.以上の背景から,本研究では,生体吸収性を有するシルクタンパクの光硬化三次元印刷によって生体吸収性を有する生体材料を印刷し,その力学機能を制御する.具体的には,抽出したシルクタンパク溶液と生体プラスチック原液を混合および光硬化印刷し,複合化したシルクタンパク配合生体プラスチックの力学機能とその発現機構を評価する.シルクタンパクの配合比を段階的に変えることで生体プラスチックの力学機能を変化させ,シルクタンパク配合生体プラスチックの力学機能制御の可能性を検討する.将来的には,有限要素解析により実際に作製したシルクタンパク配合生体プラスチックの力学機能の妥当性と機能発現機構を解明する.現在までに得られた成果を要約すると以下の通りである. 1.絹糸から化学処理によってシルクタンパク溶液を抽出することができた. 2. 生体プラスチック単体の光硬化三次元印刷を実施した.また,生体プラスチックの最適な印刷条件(温度,雰囲気,印刷スピード,サポートフレームの設計)を求めることができた.その後,作製した曲げ試験片から曲げ機能とその破壊挙動を評価した. 3. 抽出したシルクタンパク溶液と生体プラスチック原液を混合することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた通りの進捗を得られた.なお,本研究は,すぐに発表に繋がる成果が得られない挑戦的な内容である.
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Strategy for Future Research Activity |
抽出したシルクタンパク溶液と生体プラスチック原液を用いて複合化したシルクタンパク配合生体プラスチックの力学機能を評価する.これまでに確立した最適な作製条件で作製したシルクタンパク配合生体プラスチックの曲げ試験を実施し,曲げ機能の基礎データを取得する.その際,シルクタンパク配合生体プラスチックの正確なひずみを評価したいが,ひずみゲージによる評価はヤング率の低い材料のひずみ計測制度が低い.そこで画像相関法により材料表面のひずみを非接触で評価可能な画像相関ひずみ測定を検討する.また,可能なシルクタンパクの配合比を段階的に変えることで生体プラスチックの力学機能の変化を調査する.この実験により,シルクタンパク配合生体プラスチックの力学機能制御の可能性を検討する.その後,有限要素解析により実際に作製したシルクタンパク配合生体プラスチックの力学機能の妥当性と機能発現機構を解明する.そのためにも,あらかじめ実験により取得したシルクタンパク配合生体プラスチックの曲げ特性が材料物性として必須となる.
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