2020 Fiscal Year Research-status Report
生分解性シルクタンパク足場材料の創成と3D印刷による細胞培養用プレートへの応用
Project/Area Number |
20K20430
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
成田 史生 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10312604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 大樹 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (40643226)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 材料力学 / 3D印刷 / 複合材料 / 生体材料 / 人工臓器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,シルクフィブロインを抽出し,水溶液中で光造形三次元(3D)プリンタによって硬化させることで,あらゆる人工臓器に適用可能な細胞再生能力の高い生分解性シルクタンパク足場材料の創成とその3D印刷技術の確立を目指すものである.得られた成果を要約すると以下の通りである.
(1) シルクフィブロインを抽出する前のシルクに関し,力学・物理的特性に関する基礎的検討を行った.具体的には,シルクファイバー内部にセルロースナノファイバーを配向させ,引張試験を行って,縦弾性係数,引張強さ,比強度に及ぼすセルロースナノファイバーの影響を解明した.また,有限要素解析を行い,シルク内部のセルロースナノファイバー含有率を予測した.なお,セルロースナノファイバー強化シルクファイバーからシルクフィブロインを抽出してみたが,結果は好ましくなかった.抽出方法については,さらなる検討が必要である.
(2) 純粋なシルクフィブロインの濃度を変化させた生体適合性ポリマーPEGDMAとシルクフィブロインの複合ハイドロゲルを3D光造形法による造形に挑戦し,造形パラメータの最適化によってシルクフィブロイン/PEGDMA複合ハイドロゲルの作製に成功した.また,走査型電子顕微鏡と膨潤率から,PEGDMAへのシルクフィブロインの添加と増加により,細孔が小さくなり,多量に存在することが確認された.さらに,シルクフィブロイン/PEGDMA複合ハイドロゲルは圧縮強度が評価可能なレベルな硬さを有していることもわかった.今後は,シルクフィブロイン/PEGDMA複合ハイドロゲルの圧縮特性を定量的に評価し,生体用足場材料への適用可能性を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シルクフィブロインの濃度を変化させた生体適合性ポリマーPEGDMAとシルクフィブロインの複合ハイドロゲルの作製に成功し,現在,査読付き英文誌への投稿を進めている.また,シルクフィブロイン/PEGDMA複合ハイドロゲルの圧縮特性について得られる成果も学術論文として発表する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
シルクフィブロインの濃度を変化させた生体適合性ポリマーPEGDMAとシルクフィブロインの複合ハイドロゲルの圧縮特性を定量的に評価する.具体的には,シルクフィブロイン/PEGDMA複合ハイドロゲルの圧縮弾性率,圧縮強度を評価し,シルクフィブロインの濃度と圧縮特性の関係を明らかにする予定である.
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