2019 Fiscal Year Annual Research Report
視覚的質感の要因学理の解明と可変質感提示デバイスによる表現力拡張
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19H05506
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩瀬 英治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70436559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筧 康明 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (40500202)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚的質感 / マイクロ・ナノ光学デバイス / 表現力拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、当初計画通りの成果として、空間並置による中間的質感提示として、つやつやな表面とざらざらな表面を微細に空間並置素子することで光学的に質感が混合することを示した。また、視覚的質感の官能評価によりヒトの眼で質感が混合することを確認した。 さらに発展的な成果・当初計画以上の成果としては以下が挙げられる。(i)上記の視覚的質感提示加工をPETやPDMSなどの透明フィルム上に施し、カラー印刷した紙の上に透明フィルムを載せることで視覚的質感を既存物体に後から付与できるかを検討した。その結果、観察角度の制約が課題となることを見出した。(ii)MEMSスキャナを用いることで、動的に視覚的質感を変化させる方法を検討した。すなわち、MEMSスキャナのミラー部が静止しているときにはつやつやな面、ミラー部が駆動(振動・走査)されているときにはざらざらな面を提示し、その時間割合によって中間的な視覚的質感を提示することの原理検証を行った。(iii)“つやつや”や“ざらざら”といった“物体表面に起因する視覚的質感”のみならず、大理石やヒトの皮膚などの“透明感”、すなわち半透明物体などにおいて一度物体内部に入り込んだ光が内部散乱により戻ってくることによる“物体内部に起因する視覚的質感”について光学的に評価する方法を確立した。(iv)複数光源(プロジェクタ)から入射角を変えて物体に光を照射させることで、物体の視覚的質感を変化させて提示する投影環境について、基礎的な検討を行った。(v)水と屈折率がほぼ同等の吸水性ハイドロゲルと水を用いることで、水の注入の有無により透明体と内部散乱が生じる状態とを行き来し、光源位置を制御することにより光の振る舞いや質感を動的に変化させる照明インスタレーションの製作を行った。スマートイルミネーション横浜2019で作品展示を行い、社会実装への課題検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、空間並置による中間的質感提示として、つやつやな表面とざらざらな表面などを微細に空間並置素子することで、ヒトの眼で質感が混合すること、および 視覚的質感の官能評価を実現したことだけでなく、実際の作品展示などを通して鑑賞者の反応を集め、課題や応用可能性について議論できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、時間的に質感を可変できる可変質感提示デバイスの設計手法の確立、視覚的質感の官能評価試験手法の確立を目指すとともに、その応用先もしくは可変質感提示デバイスにより社会がどのように変わり得るかの思索・提言を行うことを目指す。
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Remarks |
筧康明, 藤井樹里, ハンチョンミン, “Waves”, スマートイルミネーション横浜2019, November 1-4, 2019. (招待展示)
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