2020 Fiscal Year Research-status Report
水素錯イオンの高速擬回転に伴う低温副格子融解を利用した革新的固体イオニクスの創成
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20K20438
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 成幸 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50409455)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水素錯イオン / 擬回転 / イオン輸送 / 遷移金属錯体水素化物 / 副格子融解 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、中性子準弾性散乱実験による擬回転の実験実証、ならびに計算材料科学による擬回転の発現機構解明を進めるなど、理論・実験の両面から擬回転の学理構築に取り組んだ。実験に関しては、擬回転の直接観測には至らなかったものの、150Kから室温に至る広い温度範囲にて、水素錯イオンの自由回転運動を示す準弾性散乱成分の観測に成功するなど、研究構想の妥当性を支持する結果を得た。理論計算に関しては、擬回転の発現が①錯イオンの対称性と錯イオン占有サイトのサイトシンメトリーの競合、ならびに②高水素配位錯イオンならではの多様な準安定構造の存在に起因することを明らかにした。また第一原理計算を用いた理論合成予測にもとづき、マグネシウムを陽イオンとする新たな高水素配位錯体水素化物の合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の妥当性を支持する実験結果が得られたことに加え、擬回転の学理構築においても主に理論の観点から大きな進展がえられたこと、さらには多価イオン伝導への展開が見込める新たな高水素配位錯体水素化物の合成にも成功していることなどからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、より高分解能の装置を利用した中性子準弾性散乱実験による擬回転の直接観測に挑戦するとともに、新たに合成に成功したマグネシウム系高水素配位錯体水素化物を端緒とした多価イオン伝導への研究展開を進める。理論に関しては、擬回転によるイオン伝導促進機構に関する詳細な解析を進めるとともに、新物質探索にも取り組む。
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Causes of Carryover |
学会や会議のオンライン化により旅費の執行が無かったことに加え、装置の改良により、想定していた技術員雇用のための人件費が節約できたため。
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Research Products
(9 results)