2019 Fiscal Year Annual Research Report
Wave phonon engineering based on atomic layer NEMS functionalized by using sub-nanometer ion beam
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19H05520
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水田 博 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90372458)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | NEMS / グラフェン / ナノイオンビーム / 波動性フォノン / 熱ダイオード |
Outline of Annual Research Achievements |
波動性ナノフォノニック機能構造の設計・作製・評価においては、電子線直接描画と集束ヘリウムイオンビーム技術を併用し、長さ500 nm、幅1.2 umの宙吊りグラフェン両持ち梁上に、ナノ孔直径が5 ~ 30 nm、ナノ孔アレイのユニットセル構造が正方格子型とスタガード格子型のグラフェンフォノニック結晶(GPnC)を作製した。また、台形状の宙吊りグラフェンをチャネルとして、台形の上底長W1と下底長W2をそれぞれW1:0.225 ~ 0.75 um, W2:0.375 ~ 1.25 umの範囲で変化させた非対称ナノフォノニック構造も作製した。この台形状宙吊りグラフェンチャネルの上底側と下底側に金属マイクロスケールヒーターを集積化した2つの素子と、マイクロヒーターのみの参照素子を用意し、ヒーターからの熱の流入口を台形グラフェンの上底側・下底側とした際のヒーター温度の低下ΔThを比較する予備実験を行ったところ、下底側からの方がΔThが大きくなることが観測された。 また、革新的熱機能素子の開拓においては、宙吊りナノフォノニック構造に対して、アクチュエーション電極から電界を印加して引っ張り応力を加えることで、フォノニックバンドギャップ帯域を変調する原理を探索するため、グラフェン梁の下に局所ボトムゲートを作製するプロセスを構築した。電子線リソグラフィと電子線蒸着を使用し、まずSiO2/Si 基板上に厚み140 nm のAu/Crソース・ドレイン電極を作製した後、厚み40nmのAu/Crボトムゲート電極を作製し、その上に犠牲層となるSiO2膜を100 nm蒸着した。その後、CVDグラフェンを転写し、反応性イオンエッチングにより不要なグラフェンを除去してグラフェンナノリボンを形成し、最後に犠牲層SiO2を BHF で除去することで、ボトムゲート型グラフェン梁構造素子を作製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
波動性ナノフォノニック機能構造の設計・作製・評価においては、計画していた正方格子型とスタガード格子型GPnCの作製に加えて、空間的非対称性の効果をいち早く明らかにするために、台形状の宙吊りグラフェンをチャネルとしたナノフォノニック構造も作製した。さらに台形状グラフェンチャネルに金属マイクロスケールヒータを集積化した素子を作製して、ヒータからの熱流入が台形チャネル向きによって異なる予備実験結果を得た点は、当初の計画を上回る進展である。 一方、新奇な3端子熱機能素子の開発においては、サスペンデッドグラフェン梁直下に、約100 nmの空隙をあけてローカルボトムゲートを設けるプロセス開発において、グラフェン梁が金属ボトムゲート上にプルインしてしまう問題が生じた。これに対して、ボトムゲートと犠牲層をあらかじめ形成した基板にCVDグラフェンを転写する過程で用いたPMMAレジストを除去せずに支持層として保存し、その上でナノリボンに加工することで解決する方法を考案し、計画通りに3端子機能素子基本プロセスを開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
波動性ナノフォノニック機能構造の設計・作製・評価においては、集束He+イオンビームと電子線直接描画を併用した超微細加工技術により、宙吊りグラフェン上に数100ナノメートル~数ミクロンのナノ孔を全面に形成したフルメッシュ構造と半分だけ形成したハーフメッシュ構造を形成する。さらにサスペンデッドグラフェンを台形形状など伝導方向に非対称型に加工したナノフォノニック構造を形成する。これらのグラフェンフォノニック構造と、4端子測定を可能とする金属マイクロスケールヒーターとセンサーを集積化したナノスケール熱フォノニック素子構造を作製する。 これらの作製素子に対して、まず電気伝導特性を環境温度85K~400Kの範囲で測定する。フォノニック構造の空間的非対称に対して印加バイアス電圧の極性を切り替えることで、電気的コンダクタンスにおける整流性の有無を確認する。次に、熱伝導特性を以下の手法で評価する。四端子測定法によりマイクロヒーター抵抗の環境温度依存性を100~300Kで測定する。次に、マイクロヒーターとセンサー間にナノフォノニック構造有り・無しの2構造に対して、それぞれマイクロヒーターの温度変化ΔThとマイクロセンサーの温度変化ΔTsを測定する。これらの測定を、マイクロヒーターとセンサーを入れ替えて行うことにより、非対称ナノフォノニック構造による熱整流性作用を評価する。 新奇な3端子熱機能素子の探索においては、上記のサスペンデッドナノフォノニック構造に対して、グローバルボトムゲート(基板ゲート)、あるいは基板トレンチ内に形成したローカルボトムゲートから電界を印加して、サスペンデッドナノフォノニック構造に引っ張り応力を加えることで、熱伝導特性を変調する素子原理で3端子化を行う。この方法で、PnBG帯域と熱整流作用を変調することで、熱フォノン伝導をオン・オフする3端子素子の基本構造を試作する。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] グラフェンナノデバイスによる超高感度環境・生体ガスセンシング技術と熱制御技術の現状と展望2019
Author(s)
水田 博, G. Agbonlahor, 宮下 寛也, 古川 篤, F. Liu, M. Haque, 中野 颯也, M. Muruganathan, 槇 恒, 恩田 陽介, 服部 将志, 下舞 賢一, 関根 嘉香
Organizer
北陸産業活性化フォーラム
Invited
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