2022 Fiscal Year Research-status Report
Challenge for detection of cooper-pair pure spin current
Project/Area Number |
20K20443
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 誠司 京都大学, 工学研究科, 教授 (30397682)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | トポロジカル超伝導 / カイラル / 原子膜 / スピン構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の2022年度は、引き続きコロナ禍の影響は受けたものの、その表面でカイラルp波超伝導(トポロジカル超伝導)が誘起される原子膜物質であるFeTeSeを用いてスピン計測素子を作製し、その超伝導転移温度の上下で、大きく異なるスピン信号を計測することに成功した。カイラルp波超伝導の場合、トポロジカル絶縁体表面におけるスピン構造と同様の特徴的なスピン構造が誘起されるわけであるが、本研究で作製したスピン素子で、その特徴的なスピン構造が計測できたことになる。対照実験として従来型のs波超伝導体であるNbNを用いてFeTeSeスピン素子と同じ構造を有するスピン素子を作製して計測を行ったが、スピン構造に由来すると考えられる信号は予想通り計測されなかった。s波超伝導体ではスピン構造が生まれないため、NbNスピン素子におけるスピン信号の消失はFeTeSeで計測されたスピン信号の起源がそのカイラルp波性であること、さらにはFeTeSeの表面にトポロジカル超伝導状態が生成されていること、さらに踏み込むと、非可換エニオンであるMajorana準粒子が存在できることを示唆する結果となる。
引き続き様々な角度から対照実験、更に物性理解を深めるための必要な実験を進めていき、本研究で強力な候補材料として提案したFeTeSeがトポロジカル超伝導を実現する好適な材料プラットフォームであることを示し、トポロジカル超伝導を基軸とした超伝導スピントロニクスを発展させていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル超伝導状態をスピン計測という切り口から観測していく、という極めて野心的な研究提案であったが、予想以上に順調にトポロジカル超伝導性に起因すると考えられるスピン構造の計測に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のように、引き続き様々な角度から対照実験、更に物性理解を深めるための必要な実験を進めていき、本研究で強力な候補材料として提案したFeTeSeがトポロジカル超伝導を実現する好適な材料プラットフォームであることを示し、トポロジカル超伝導を基軸とした超伝導スピントロニクスを発展させていく。
|
Causes of Carryover |
支出業務が想定よりも順調に遂行したため、僅かな残金が生じたが無理に消化することなく翌年度に繰り越すこととした。
|
Research Products
(5 results)