2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H05523
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 秀和 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30362651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 隆志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50531472)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | X線 / X線ミラー / X線集光 |
Outline of Annual Research Achievements |
X線光電子分光などのX線利用分析技術において空間分解能を向上させるため様々なX線集光技術が開発されている。本研究では集光素子の一つであるX線ミラーにおいて「多層膜3次反射」と「ミラーの極端な短小化」という二つのアイディアを導入し、極限の1nm集光を目指した挑戦的な研究である。 多層膜3次反射を利用すれば入射角度を大幅に増大させることが可能となり、集光光学系において1nm集光に必要な理論的な開口数は得られる。しかし、表面粗さ、形状誤差の集光ビームへの影響が入射角度増大と共に大きくなる。一方、表面粗さと形状誤差の集光への影響は焦点距離に反比例して小さくなる。そのため、従来よりも10~100分の1となる、焦点距離が数mmのミラーの実現が技術的な課題となる。 こうしたことから、2019年度は2mm長のミラーの開発を進めた。小型ミラーの評価は多層膜が必要でない軟X線を用いて行った。将来を見越し、30keVの硬X線を多層膜3次反射により集光するミラーと同じ形状のミラーを作製した。 X線ミラーによる集光ではアライメント方法も重要となる。小型ミラー専用のアライメント装置を開発しSPring-8の軟X線ビームラインBL25SUに導入した。300eVの軟X線を用いた集光実験を実施した。ミラーの作製では、円筒上のミラー基板を準備し、成膜法による形状修正により楕円筒面を作製した。その結果、2mm長、8mm長の超小型ミラーの作製に成功し、SPring-8において300eVの軟X線集光を実施した。その結果500nm以下の集光サイズを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり長さ2mmのX線ミラーを試作し、軟X線の集光システムを開発しており、研究計画に沿って順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年には、前例のない2mm長のミラーの開発をスタートできた。しかしながら形状誤差が現在20nmであり更なる高精度化が不可欠である。 2020年度は有機砥粒加工法の導入により、ミラーの加工システムを完成させ、PV1nmのミラーを早期に実現し再度軟X線集光を実現する。また、平面ミラーに多層膜の形成も行い3次反射の特性調査を開始する。
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Research Products
(2 results)