2019 Fiscal Year Annual Research Report
『トポリジカル欠陥が誘起する結晶構造変換』の発見を基盤とする結晶学の新学理
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19H05529
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00167769)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | トポロジカル欠陥 / 結晶成長 / 配位高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、結晶化を含む「階層的な自己集合体形成」に関する数多くの研究を行い、様々な機能材料の開拓に成功してきた。最近その過程で「Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥」が「結晶の核形成と成長」を促すことを直接示す現象を発見した。本研究課題ではこの現象の理解と深化を行い「結晶学における新学理」の構築を試みている。 今年度は、すでに見出している分子系に加えて、結晶化に用いるコンポーネントを変えることで「Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥」によって促進される「結晶の核形成と成長」現象の一般化を試みた。屈曲したアゾユニットからなるAzoPyのかわりに、芳香族や三重結合などの非屈曲リンカーからなるビピリジン誘導体を用いたところ、配位子の酸解離定数に応じて、結晶化様式が大きく異なることを見出すとともに、一般化に必要なパラメータの抽出に成功した。さらに、「Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥」の直接的な証拠を得るため、TEMやAFMなどの顕微鏡観察を行い、現象の本質的な理解が進んだ。さらに、一枚の2D結晶の表と裏を観察し、Screw Dislocationが表裏で同じ巻き方向のらせんを与えていることを確認するとともに、円偏光発光が確認できた。本研究が単なる結晶化の詳細な解析にとどまらず、新たな機能創発へとつながることを示す重要な発見である。また、計算機科学的検証を通じて、Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥がどのように段階的な結晶化プロセスに寄与しているかを明らかにすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現象の一般化への道筋が見えたことで、「Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥」が「結晶の核形成と成長」を促すことを直接示す現象の理解と深化が進み、「結晶学における新学理」の構築へ近づきつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、一枚の2D結晶の表と裏を観察し、Screw Dislocationが表裏で同じ巻き方向のらせんを与えていることを確認するとともに、円偏光発光が確認できた。キラルなビピリジン誘導体やキラルな溶媒中で結晶化を行う。また、物理的アプローチとして、結晶化を円偏光照射下で行い、2D結晶の絶対不斉合成の可能性を探求する。
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Research Products
(1 results)