2020 Fiscal Year Research-status Report
『トポリジカル欠陥が誘起する結晶構造変換』の発見を基盤とする結晶学の新学理
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20K20448
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00167769)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トポロジカル欠陥 / 結晶成長 / 配位高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、結晶化を含む「階層的な自己集合体形成」に関する数多くの研究を行い、様々な機能材料の開拓に成功してきた。最近その過程で「Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥」が「結晶の核形成と成長」を促すことを直接示す現象を発見した。本研究課題ではこの現象の理解と深化を行い「結晶 学における新学理」の構築を試みている。 昨年度見出した、2D結晶からの円偏光発光ならびにらせん状モルフォロジーについて研究を進めた。一枚の2D結晶の表と裏をAFMによって観察し、Screw Dislocationが表裏で同じ巻き方向のらせんを与えていることを確認したことに加え、円偏光発光の符号とらせんモルフォロジーの巻き方向との関係性を結びつけることに成功した。また、2D/3D結晶複合体ならびにメカニカルな刺激で分離させた2D結晶、3D結晶ではそれらの光学的特性が変化することを見出した。さらに驚くべきことに、3D結晶については、励起光照射を続けると、その発光波長が短波長側へとシフトするとともに強度が増大していき、励起光照射をやめ暗所に保管すると徐々にその光学特性が照射前のものへと戻っていくことを見出した。このような現象は従来知られている機構ではまったく説明できない新規なものである。本研究を通じて初めて実現された、「Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥」による「結晶の核形成と成長」が、新たな機能創発へとつながることを示す重要な発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現象の一般化への道筋が見えたことで、「Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥」が「結晶の核形成と成長」を促すことを直接示す現象の理解と深化が進み、「結晶学における新学理」の構築へ近づきつつあるとともに、特異な結晶成長に基づく新たな機能創発が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2D/3D結晶複合体および2Dまたは3D結晶単体で見出された新奇な光学特性についてその機構解明と深化を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による影響により、研究活動が当初の予定よりも遅延したため次年度使用額が生じた。次年度は、消耗品費として1,668,263円、その他修理費および共用設備利用料として1,000,000円を使用する。
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