2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel properties generated by edge sites of layered oxides and hydroxides
Project/Area Number |
19H05532
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 一幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90130872)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 層状物質 / 形態制御 / ナノ材料 / 層端面 |
Outline of Annual Research Achievements |
無機層状化合物の結晶端(すなわち層端面)には結晶内とは異なる配位環境を有した化学種が存在しており、反応性を有する活性点となりうることが”層端面の効果”として近年報告され始めているが、その本質は理解されておらず全く未開拓の分野であった。そこで本研究課題では、層端面を多く露出させた異方的な粒子形態を有する層状酸化物や層状水酸化物の合成・解析・機能評価により、層状化合物の層端面が有する化学的・物理的性質の解明に取り組んでいる。 本年度は主に層端面を多く露出させた層状物質の合成条件の検討に注力して研究を行った。層端面の情報を十分に把握可能な異方的な形態を有する層状物質を得るために、面内方向(層面に平行方向)の結晶成長を制限しつつ、積層方向の結晶成長を促進するという通常の層状物質とは逆の結晶成長挙動を実現する合成手法の開発に着手した。 概念実証のための研究対象として、結晶構造が比較的単純であり、様々な金属種で層を構成可能な遷移金属水酸化物を用いた。遷移金属水酸化物の合成時に、錯形成能を有するアミン系配位子をソフトテンプレートとして使用することで面内方向の結晶成長を抑制する合成戦略を立て、金属種との錯形成反応の制御により異方成長を狙った。その結果、積層方向サイズが面内方向サイズを超えるような異方的な粒子形態を有する層状金属水酸化物の合成に成功した。試料全体の均一性や形態の制御性に関して改善を加えていくことで、層端面の評価に適したモデル物質となる可能性を十分に秘めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度目標としていた層端面を多く露出させた異方性層状物質の合成に関してはおおむね成功したといえる。本手法をベースとして露出した結晶面の割合をより自由に制御可能な合成条件を検討していくことで、層端面の評価が可能となると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続きロッド状層状化合物の合成条件を種々変化させ、生成物の形態制御を定量的に評価する。また、各種分光分析を用いた層端面の化学的環境の評価を行う。測定対象としては、ロッド状結晶のみならず、粒形に応じて表面/端面比を変更可能で分析のしやすいナノシート状結晶も含め、その合成にも取り組む予定である。
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