2020 Fiscal Year Research-status Report
Novel properties generated by edge sites of layered oxides and hydroxides
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20K20450
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 一幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90130872)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 層状物質 / 形態制御 / ナノ材料 / 層端面 |
Outline of Annual Research Achievements |
無機層状化合物の結晶端(すなわち層端面)には結晶内とは異なる配位環境を有した化学種が存在しており、反応性を有する活性点となりうることが“層端面の効果”として近年報告され始めているが、その本質は理解されておらず全く未開拓の分野であった。そこで本研究課題では、層端面を多く露出させた異方的な粒子形態を有する層状金属酸化物や水酸化物の合成・解析・機能評価により、層状化合物の層端面が有する化学的・物理的性質の解明に取り組んでいる。 昨年度までの成果として、層状金属水酸化物の合成時に錯形成能を有するアミン系配位子をソフトテンプレートとして用いることで、積層方向サイズが面内方向サイズを超える異方的なロッド状金属水酸化物が生成することを見出している。本年度はこの合成法をベースとして配位子濃度や反応温度等の結晶成長条件の最適化に取り組み、試料全体においてロッド状結晶が生成する条件を見出した。また別のアプローチとして、ナノシート状結晶のボトムアップ的合成にも取り組んだ。ナノシートに着目した理由は、面内方向サイズに応じて表面に対する端面の存在量を変更可能であり、層端面の効果を定量的に評価できると考えたためである。三脚型配位子を用いた水酸化物表面の有機修飾法を活かすことで、従来のトップダウン法では困難であった粒径の均一な単層ナノシートの一段階での合成とそのサイズ制御に成功した。これらのナノ物質は層端面の独立的な評価に適したモデル物質となる可能性を十分に秘めていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの目標としていた層端面の独立的な評価に適したモデル物質の合成法の開発に関してはおおむね成功したといえる。本手法で得られる異方的なナノ結晶に対し層端面の評価を行うことで、層端面が有する化学的・物理的性質の解明に近づくと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに得られたロッド状結晶の合成法の他の金属種への適用可能性を検討する。ロッド状結晶およびナノシート状結晶に対し、各種分光分析を用いた層端面の化学的環境の評価を行う。また、層状化合物の結晶成長に関する基本的知見も、本研究推進にあたって価値があると考え、溶液状態の分析を通じてロッド状結晶の形成メカニズムについても検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、成果発表のために参加予定であった国内及び国際学会やシンポジウムの開催が次年度に延期となり、旅費に使用する予定分の未使用額が生じた。この未使用額は延期した学会参加・旅費等に主に充当予定であるが、学会開催方法については流動的であるので今年度分と合わせて消耗品や依頼分析費用等にも充当する予定である。
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