2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K20452
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20285307)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / ストリゴラクトン / 菌根菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の置換基を有するベンゼン環をA環に持つカーラクトン酸メチルアナログとして昨年度までに合成したp-ブロモ、クロロ、メチル置換体に加えて、n-ブチル、イソプロピル、tert-ブチル置換体を新たに合成した。これらの新規カーラクトン酸メチルアナログのAM菌に対する菌糸分岐誘導活性について現在検討中である。ミヤコグサを宿主としたAM菌菌叢組成アッセイにおいてアナログを溶解するのに使用しているアセトンによる菌根形成阻害の可能性が疑われたため、従来の0.05%に加えて、0.005%, 0.0005%の濃度について調べたところ、0.05%の濃度では菌根形成が低下することが分かった。よって、AM菌菌叢組成アッセイにおけるアセトン濃度は0.005%以下とした。アナログの処理濃度について従来の1マイクロモラーに加えて、さらに低い100nMについてp-メチルベンゼン型アナログを用いて調べたところ、Rhozophagus irregularis単独接種では1マイクロモラーよりも100nMにおいて菌根形成の促進効果が見られた。一方、Gigaspora margaritaでは1マイクロモラー処理の方が菌根形成率(感染率)が高くなった。このことからAM菌の種類によって菌根形成におけるアナログに対する感受性が異なることが判明し、これによりアナログ処理濃度を変化させることで特定のAM菌の根への感染を促進あるいは抑制できる可能性が強く示唆された。そこでR. irregularis, R. clarus, G. margaritaの3菌株を接種する菌叢組成アッセイをp-ブロモ、クロロ、メチル置換体について100nMの処理濃度で行ったところ、アナログ非存在下と比べて、クロロ置換体では3菌株による菌根形成の一様な低下が見られた一方で、メチル置換体ではR. clarusの組成比が大きく増加する効果が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
菌叢組成アッセイにおけるアセトン濃度やアナログ処理濃度についてさらに詳細に条件を検討していくことで、アナログの書類や濃度によってミヤコグサ根におけるAM菌の菌叢組成を改変できることが分かった。当初の仮説通り、AM菌の種類によって種々の構造の異なる非典型ストリゴラクトンに対する感受性が異なることが判明し、これを利用した菌叢組成改変技術の可能性が大きく拓けたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに複数種の新規アナログを合成し、今年度に合成した新規アナログと共に菌叢組成アッセイに供し、上記の3種のAM菌を用いたアッセイにおける菌叢改変効果を調べていく。さらに自然土壌を用いる多種のAM菌の接種実験を行い、非典型ストリゴラクトンの菌叢改変効果がフィールド条件でも見られるのかどうかについて検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナによるキャンパス閉鎖により研究の進行が大幅に遅れたため。 次年度は遅れを取り戻すために、研究スピード及び効率の向上に努める。
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