2020 Fiscal Year Research-status Report
The mechanism of life-cycle control and the genomic basis of life-cycle divergence in periodical cicadas
Project/Area Number |
20K20461
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽田 貞滋 京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲史 京都大学, 理学研究科, 助教 (10643257)
藤澤 知親 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (10792525)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 周期ゼミ / 生活史制御機構 / 幼虫期間 / トランスクリプトーム / 全ゲノム配列 / 遺伝子発現比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 2019年採集幼虫の種判別とトランスクリプトーム解析:2019年秋に採集した幼虫の種判別作業をqPCRを用いて行った。その結果、大半の個体が、Magicicada cassini(ブルードXXIIはM. tredecassini)、次いでM. septendecimで、M. septendeculaが1個体のみ含まれていた。年齢の異なる幼虫、赤眼・白眼の幼虫の間での遺伝子発現比較を行うために、頭部から全RNAを抽出し、mRNAのショットガンシーケンスを行った。シーケンスはM. cassiniを20個体(ブルードIX, XIIIの白眼、赤眼、雌雄2個体ずつ、X, XIVの白眼雌雄2個体ずつ)、M. septendecimを18個体(同。ただしXIIIの赤眼は雌2個体のみ)を用いた。 (2) 2020年秋の幼虫採集:本年度は新型コロナ流行のため、渡航による調査ができなくなった。そこで、オハイオ州の共同研究者、Gene Kritsky教授に昨年度の調査地と同じ州内3箇所での幼虫採集を依頼した。調査は11月に行われ、各調査地で再年度とほぼ同程度の幼虫が得られた。2021年に羽化が予定されているブルードXにおいては、ほとんどの個体が赤眼であった。幼虫の性別、齢の判定、および種判別を行った。 (3) 13年ゼミ・17年ゼミの全ゲノム配列比較:昨年度に発注したChromium Libraryのシーケンスデータが年度始めに得られたため、SuperNovaによるアセンブルを行った。アセンブルの全長は3.9Gbにとどまり、実際のゲノムサイズ6.4Gbを下回った。一方、M. cassiniの全ゲノム解読を先進ゲノム支援プログラムに申請し採択された。この支援では、PacBio Sequel2による長リードのシーケンスがゲノムサイズの100倍程度得られた。アセンブルは次年度にかけて行われる予定である。13年・17年ゼミの全ゲノム配列比較に用いるシーケンスデータを、全7種についてそれぞれ4個体ずつ取得した。データ量は個体あたりゲノムサイズの16~18倍。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ流行のため活動が制限され、野外調査の計画を変更せざるを得なかったが、米国の共同研究者の協力により、最低限のサンプルを確保することができた。また、全ゲノム解読に関しては、ゲノムサイズが大きいために想像以上に困難であることが判ったが、先進ゲノム支援により、大量・高精度のデータが得られたことにより、成功の可能性がでてきた。研究はやや遅れているが、進展しているといってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年、2020年採集の幼虫について、生活史制御に関連した遺伝子発現パターンの比較解析を進める。 2021年秋の幼虫調査は再度、米国共同研究者に依頼する。可能であれば日本からも調査に参加する。 M. cassiniの全ゲノム配列のアセンブルが完成したのち、リシーケンスデータを用いて13年ゼミM. tredecassini・17年ゼミM. cassiniのゲノム配列比較を行い、幼虫期間の分化に関係するゲノム配列を探索する。
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Causes of Carryover |
アメリカ合衆国での秋の野外調査のために,旅費の使用を予定していたが,新型コロナ流行のために調査ができなくなり,未使用額が生じた.海外調査は毎年行う予定であったが,次年度においても海外調査が不可能と判断された場合は,ゲノム解析およびトランスクリプトーム解析に予算をあてることにする.
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