2022 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanism of life-cycle control and the genomic basis of life-cycle divergence in periodical cicadas
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20K20461
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽田 貞滋 京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (10643257)
藤澤 知親 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (10792525)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 周期ゼミ / 生活史制御機構 / 幼虫期間 / トランスクリプトーム / 全ゲノム配列 / 遺伝子発現比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)野外の幼虫の令構成・体重・眼色・遺伝子発現 2019年から2022年10・11月に米国東部4州で17年ゼミBrood IX、X、XIII、XIV、13年ゼミBrood XXIIの幼虫調査を行なった。この結果17年ゼミ11年目から16年目の幼虫の令構成、体重、眼色の変化についてのデータが得られた。変態兆候を示す赤眼の終齢幼虫は12年目に少数出現し赤眼個体はコホートの中で体重が重い個体であること、16年目には殆どの終齢が赤眼となることが分かった。これらの結果は周期制御に関する4年時計・4年ゲート仮説、臨界体重仮説を支持する。白眼と赤眼の終齢幼虫は異なる遺伝子発現パターンを示し、赤眼幼虫は光受容に関わる遺伝子など特に神経系の発達に関わる遺伝子が高発現していた。また昆虫の成虫への変態に特異的なエクジソンの産生、幼若ホルモンの抑制も見られ、赤眼の幼虫では翌年の羽化に向けた準備が進んでいると考えられた。 (2)ゲノムデータを用いた周期遺伝子の探索と周期分化過程の解析 13年・17年の幼虫期間の違いに関連する遺伝子領域を特定するために、7種60個体からゲノムの約15×のリシーケンスデータを取得し、SNPデータを取得した。このSNPデータを用いて、幼虫期間の長さ(周期)の違いに関係する遺伝子領域を探索した。また、系統解析を行うとともに、デモグラフィー推定を行ない、有効集団サイズの変動と、13年ゼミ・17年ゼミの分岐年代を推定した。SNPデータに基づく系統解析の結果、13年と17年ゼミの分化は、Decim種群で2回(82000年前と23000年前)、Cassini種群で1回(49000年前)、Decula種群では2回(89000年前と71000年前)起こったと推定された。どの種群でも周期分化後の有効集団サイズの顕著な増加が推定された。
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