2020 Fiscal Year Research-status Report
CAR-T細胞療法の最適化に資するCAR機能チューニングテクノロジーの開発
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20K20462
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 直貴 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90312123)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キメラ抗原受容体 / 構造活性相関 / 細胞療法 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
キメラ抗原受容体 (CAR) のヒンジ領域/膜貫通領域 (HD/TMD) 構造とCAR機能およびCAR-T細胞機能との連関を明らかにするべく、各種HD改変CARおよびHD/TMD改変CARを作出し、それらの遺伝子を導入したマウスT細胞におけるCAR発現レベルおよび抗原特異的な機能強度を体系的に比較解析した。一連の解析から、HDがその構造 (長さや柔軟性) あるいはHDを介した複合体形成によりCARの発現効率やシグナル入力閾値 (効率) を規定すること、TMDが細胞膜上のCAR発現安定性あるいはCARの細胞内局在を規定することを明らかにした。CAR-T細胞の機能強度はHD/TMDに規定されるCAR発現強度とHDに規定されるCARシグナル入力効率に影響を受けたことから、HD/TMDの設計は、標的抗原の分布やがん細胞と正常細胞における抗原発現強度の差を考慮して、適切なCARの膜発現強度とシグナル入力効率を示す構造 (アミノ酸配列) を選択する必要があると考えられた。また、各種STD改変CARを用いた解析からは、CD3ζ-STDのみを有する第一世代CARに対して、CD3ζ-STDと各種共刺激分子由来STDを有する第二世代CARで認められたサイトカイン分泌能の亢進は追加した共刺激分子由来STDのシグナル入力に依存することを明らかにした。また、第二世代CARの細胞傷害活性は共刺激分子由来STDの種類や追加位置に影響を受けたことから、STD追加に伴うCAR細胞内構造の変化がCD3ζ-STDのシグナル入力効率に影響を与えることが示唆された。したがって、第二世代CARのSTD設計時には共刺激分子由来STDのシグナル特性のみならず、CAR細胞内構造変化に基づくCD3ζ-STDのシグナル入力効率の変化についても考慮する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究実施計画である「CARのシグナル伝達効率を規定するHDの構造最適化」および「CAR-T細胞機能の最適化を志向したSTD設計理論の構築」についてはほぼ達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
各種構造改変CARを新たに作出し、ヒンジ領域の長さや立体構造、ヒンジ領域内のシステイン残基やN-結合型・O-結合型糖鎖修飾サイト、などがCAR発現様式やCAR-T細胞機能に与える影響を精査する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため学会および研究打ち合わせのための旅費支出が不要であったことと、緊急事態宣言における研究活動の縮小により消耗品の購入量が減ったことによる。次年度使用額は消耗品購入に充てる計画である。
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Research Products
(8 results)