2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of "3D Digital Neuropathology" as a new academic field
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19H05559
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 弘樹 新潟大学, 脳研究所, 特任准教授 (80401769)
田井中 一貴 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80506113)
齋藤 理恵 新潟大学, 脳研究所, 助教 (80829078)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 神経病理学 / デジタル画像 / 組織病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経病理学的診断を行っていると、通常の組織標本、つまり2次元平面に薄切した標本の観察では、脳病変を正しく評価できないのではないか、と思うことがある。脳は、つくりが複雑で機能単位がことさら立体的だからである。本研究では、ヒト脳組織透明化・3Dイメージング技術を用いて、ヒト脳における神経細胞やグリア細胞の配列やネットワーク、更には微小血管の分布を3次元で鮮明に捉え、‘立体的機能ユニット’における正常と異常を明らかにする。つまり定量的なデジタル3D神経病理学を創成し、ブレインサイエンスにおける形態学的イノベーションを開拓することを目的とする。そのための技術開発を進め、病理診断の現場や研究におけるデファクトスタンダードに昇華させるため、(1) ‘立体的機能ユニット’を丸ごと解析するための多色繰り返し染色法と、(2) 微細構造観察のための高度組織膨潤透明化プロトコールを開発し、(3) ヒト標準脳3Dマップ “21世紀版ブロードマン地図” を作成する。そしてデジタル3D神経病理学の有用性を実証する計画である。 当該年度においては、ヒト脳組織透明化における最大の光学的課題:自家蛍光および褐変(マウス等の脳を透明化する際には特段問題とはならない)、の克服に成功し、これらを高度に抑制する透明化プロトコール:いわば「ヒト脳組織に特化した透明化試薬」の開発に成功した。また、この手法に適用可能な3D用各種一般蛍光染色およびホールマウント免疫染色技術を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ヒト脳における‘立体的機能ユニット’を明らかにすることを目指している。現在までに、ヒト組織標本を高度に透明化する新たな水溶性透明化試薬の開発に成功し、ヒト脳の3D染色法とホールマウント免疫染色法を確立した。この技術を病理診断の現場や研究におけるデファクトスタンダードに昇華させるため、今後の研究方針を進める基盤が確立した。そのため、現在までの進捗状況として、おおむね順調に進展している、と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえ、以下の2つの課題に対する解決策を講じる。 課題(1):多色の画像重ね合わせ:現状の3Dイメージングでは、一回の染色操作で4色までのマルチカラーイメージングが可能である。貴重なヒト脳標本における‘立体的機能ユニット’を丸ごと解析するためには更に多色での標識技術が必要である。そこで繰り返し染色法を開発する。 課題(2):微細構造の観察技術:シート照明蛍光顕微鏡を用いた光学系は、本研究目的に叶う1 cm3ブロック超の大きな組織を高速で観察できる。ただし、倍率4倍での観察になるためオルガネラレベルでの異常を検出することは苦手である。高度組織膨潤透明化プロトコールを確立し、この弱点を克服する。 研究方法:<繰り返し染色法の開発および高度組織膨潤透明化手法の開発> 予備実験の結果、染色済みの透明化組織は脱脂処理により脱色されることを見出した。そこで、脱脂処理の更なる最適化(試薬の組成・温度・時間)を図ることで、高効率な脱色条件を探索する。繰り返し染色により、1 cm3 超の標本における神経細胞・グリア細胞・微小血管・髄鞘・老人斑など、多種類の構造体を丸ごと可視化するイメージング基盤を確立する。また、オルガネラ解像度の3Dイメージングを実現するために高度組織膨潤透明化手法の開発を行う。これまでExpansion Microscopy (EM)法に代表される吸水過程を利用した組織膨潤手法が開発されている。しかしながら、EM法は薄切標本に適した手法であり、組織ブロックに用いても不均一な膨潤となる。我々の透明化手法は高度な脱脂過程を経ているため、プロテアーゼがムラなく浸透し均一な組織膨潤が期待できる。膨潤組織ブロックに最適な屈折率調整液を開発し、体積辺り100倍の均一な膨潤透明化プロトコールを作成する。
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[Journal Article] Versatile whole-organ/body staining and imaging based on electrolyte-gel properties of biological tissues.2020
Author(s)
Susaki EA, Shimizu C, Kuno A, Tainaka K, Li X, Nishi K, Morishima K, Ono H, Oda KL, Saeki Y, Miyamichi K, Isa K, Yokoyama C, Kitaura H, Ikemura M, Ushiku T, Shimizu Y, Saito T, Saido TC, Fukayama M, Onoe H, Touhara K, Isa T, Kakita A, Shibayama M, Ueda HR.
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 11
Pages: 1982
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Human and mouse single-nucleus transcriptomics reveal TREM2-dependent and -independent cellular responses in Alzheimer’s disease.2020
Author(s)
Zhou Y, Song WM, Andhey PS, Swain A, Levy T, Miller KR, Poliani PL, Cominelli M, Grover S, Gilfillan S, Cella M, Ulland TK, Zaitsev K, Miyashita A, Ikeuchi T, Sainouchi M, Kakita A, Bennett DA, Schneider JA, Nichols MR, Beausoleil SA, Ulrich J, Holtzman DM, Artyomov M, Colonna M.
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Journal Title
Nat Med
Volume: 26
Pages: 131-142
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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