2019 Fiscal Year Annual Research Report
便プロテオーム解析を用いた小児外科疾患のトランスレーショナルリサーチ
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19H05561
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60528438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 亙 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (20590847)
川島 祐介 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 研究員 (30588124)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 便 / プロテオーム解析 / 胆道閉鎖症 / 壊死性腸炎 / 小児外科 / 胎便 / 新生児 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト便プロテオーム解析技術の精度を高め、胆道閉鎖症および胎便に関する研究を開始している。 2019年度の胆道閉鎖症の解析は、希少サンプル故に、東京大学医学部付属病院で経験できた1症例に止まったが、胆道閉鎖症患児の術前の便中には、特徴的なタンパクプロファイルが存在する可能性が示唆された。 また、壊死性腸炎に代表される未熟腸管に起因した腸管トラブルの病因解明と新しいバイオマーカーの探索さらには新規治療法の開発を目指し、胎便の解析も進めている。東京大学医学部付属病院で出生した超低出生体重児(ELBWI: extremely low birth weight infant)1例(23週0日, 449g)、 低出生体重児(LBWI: low birth weight infant)2例(34週4日, 双胎, 1,959gおよび2,041g)および正出生体重児(NBWI: normal birth weight infant)1例(37週5日, 3,123g)の初回排便(胎便)を便プロテオーム解析で分析した結果、胎便に含まれる約4,000種類のヒト由来タンパク質が同定できた。解析した4検体のクラスター分析の結果、在胎23週0日で出生したELBWIの胎便タンパク成分は、他の3検体の胎便タンパク成分と比較すると異なる組成であった。限られた症例ではあるが、本解析結果から、ELBWIの胎便タンパク成分はLBWIやNBWIの胎便タンパク成分とは大きく異なることが示唆された。胎便は、消化管上皮に直接的に作用可能な物質の総合体であることから、ELBWIの胎便タンパク成分が、NECなどの未熟腸管に起因する腸管トラブルに関与する可能性が高く、そのタンパク成分の分析は重要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、収集できた便や胎便を使って、ヒト便プロテオーム解析を繰り返し行い、ヒト便プロテオーム解析技術の精度を高めることができた。また。共同研究機関との連携はよく、本研究の主テーマである胆道閉鎖症および胎便に関する研究は、サンプル収集から解析に到るまで概ね調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
胆道閉鎖症に関する研究は、共同研究機関からのサンプル収集を合わせると、胆道閉鎖症3症例のサンプルを既に収集できている状況である。胆道閉鎖症ではないコントロール群のサンプル収集ができ次第、便プロテオームの再解析を行い、便を用いた胆道閉鎖症の早期診断マーカーの探索を進める予定である。 また、壊死性腸炎に代表される未熟腸管に起因した腸管トラブルの病因解明と新しいバイオマーカーの探索さらには新規治療法の開発を目指し、胎便の解析を進めている。2020 年3月末の時点で、ELBWI:10症例、VLBWI:9症例、LBWI:41症例、NBWI:72症例の胎便が蓄積できている。2020年7月までにサンプル総数200症例の収集を目指し、その後、便プロテオーム解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)