2021 Fiscal Year Annual Research Report
生体硬組織形成の初期過程解明に向けたナノレベル多相的解析
Project/Area Number |
20K20476
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩山 智明 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80757865)
小椋 俊彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (70371028)
柏木 陽一郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20598396)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 基質小胞 / 石灰化 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体硬組織の形成と維持には、細胞内に基質小胞が形成・分泌されることが必須である。本研究では、大阪大学と産業技術総合研究所(産総研)の2グループによる研究班を編成し、生細胞をナノレベルで観察可能な誘電率顕微鏡を改良・高度化するとともに、遺伝子改変した培養骨芽細胞の基質小胞形成・分泌過程を観察し、骨基質の生成・維持機構を明らかにすることを目的としている。 大阪大学・村上グループは、患者由来細胞や、ゲノム編集技術を用いて改変した培養細胞を作製・解析し、同細胞が基質小胞を細胞内で形成し、細胞外へ放出する過程を詳細に解明することを目指した。研究期間全体を通じて、基質小胞や侵襲性歯周炎に関与する遺伝子のノックアウト細胞や同遺伝子に蛍光タンパク質等融合させたノックイン細胞を作製し、性状解析を行った。さらに産総研・小椋グループと連携して、誘電率顕微鏡を行い、基質小胞の形成に影響を及ぼす遺伝子群を同定した。本年度は昨年度まで使用したTild-CRISPR法に加え、ユニバーサルなドナーベクターが利用可能なCRISPIE法を用いてノックイン細胞を多数作製し、解析に供した。 産総研・小椋グループは骨芽細胞の観察に合わせた誘電率顕微鏡の改良を目指した。研究期間全体を通じて、長時間の培養に対応するために温度制御ステージを導入し、誘解像度の高い撮像における温度によるアーチファクトを最小限に抑えた上で、撮像時間を高速化したり、蛍光顕微鏡を組み合わせるなどの改良を実現した。本年度は、改良した誘電率顕微鏡を用いて大阪大学・村上グループの作製した細胞の観察および解析を行った。 これらの研究成果により、生体硬組織形成の基本的なメカニズムの理解が進展したのみならず、細胞内の微粒子の働きを生細胞のまま直接ナノレベル観察する手法が確立され、様々な生命現象の解明に応用可能と期待される。
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Research Products
(2 results)