2019 Fiscal Year Annual Research Report
逆算アルゴリズム等価性による大規模衛星観測網の高精度化:新パラダイムの創成と実証
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19H05583
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
吉岡 博貴 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (40332944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市井 和仁 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (50345865)
松岡 真如 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (50399325)
小畑 建太 愛知県立大学, 情報科学部, 助教 (80758201)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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Keywords | 衛星コンステレーション / 逆算アルゴリズム / 等価性 / ひまわり8号 / GEO / MODIS / LEO |
Outline of Annual Research Achievements |
実施1年目(R1年度)はセンサ固有性の分離をテーマに,その可能性の追求を主な目的に設定していた.特に,センサの固有性を逆算アルゴリズムとして抽出するための方法について検討を進めることであった.その目的を達成するために,植生アイソラインや線形混合モデルにもとづく逆算アルゴリズム調整方法を模索し,そのプロトタイプの作成を試みることを計画した.また,本研究の成果は次世代型静止衛星(GEO)および低軌道衛星(LEO)との比較に対しても重要な意味を持つ.そのため,本研究ではひまわり8号のAHIセンサを利用するための準備,および,研究で見出した結果の妥当性評価等に利用することを計画した. 実施1年目(R1年度)では当初の計画通り,センサの固有性を逆算アルゴリズムとして抽出および調整するための方法について検討した.具体的には,線形混合モデルのエンドメンバーをある基準に基づきセンサ毎に(独立に)決定し,逆算アルゴリズムの調整方法を模索した.さらに,半解析的な手法として抽出および調整方法に関するプロトタイプを作成する段階まで研究を進めた.その結果,スペクトルの相互変換の枠組みの中で,植生変数等の逆算アルゴリズムをセンサ毎に独立に抽出し,その特性に応じてアルゴリズムを相対的に調整することの可能性を見出した.これらの結果は,植生変数等の衛星データプロダクトを念頭に,逆算アルゴリズムをセンサ毎の特性に応じて抽出し,さらに,それらは調整が可能であることを示唆している.今年度の成果はセンサ固有性の分離可能性を追求するうえで重要な知見となっている.また,数値実験ではGEOとLEOの比較研究の枠組みを視野に入れ,ひまわり8号/AHIとTerra/MODISとの比較を行っている.特に,中緯度地帯のデータ比較を念頭に研究を進め,一定の成果を得ることができている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は3グループの連携により実施しているが,効率的に研究を進めることができており,挑戦的な課題設定をしているものの,1年目の令和元年度はおおむね当初の予定通り進捗したと判断している.まず,線形混合モデルのエンドメンバーをある基準に基づきセンサ毎に独立に決定し,それを植生指数間の関係導出に利用する手法についての研究を実施した.このアプローチは試験的な試みであったが,当初の予想を超える成果が出ており,その成果を国際会議で発表することが決まっており,原著論文の執筆作業を進めることができている. 本課題の採択内定直後には,本研究課題に深く関連する研究成果をまとめた論文が採択された.この論文は反射率間の解析的表現を利用し,植生指数を対象にして2つの異なるセンサ間における指数間の相対的な関係を解析的に導出した論文である.また,当該論文では植生層の放射伝達モデルを用いた数値実験により,導出結果の妥当性を示している.その関係式の係数はセンサ間の仕様に異存する植生層の光学的特性を表す関数が用いられている.そのため,最初にセンサの固有性をそれぞれ独立に決定し,その後,センサ間の関係を求めるために利用可能であることを示唆している.すなわち,センサ固有性の分離可能性を示唆した成果となっている. 分離可能性に関する検討範囲を双方向反射特性に拡張する準備では,影の影響を考慮するためのモデル化を進めた.また,ひまわり8号AHIのデータを本研究課題に利用するための準備を進め,実際に利用可能な環境を構築している.これらのことから,おおむね予定通り進捗したと判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では大規模な衛星観測網を想定し,センサ間の観測結果を相互に変換するための研究を展開している.そのために必要な理論を次の3項目に分類している:(1)センサ固有性の分離可能性,(2)センサ固有性の結合可能性,(3)逆算アルゴリズムの等価性.各項目に関連するサブテーマを設定し,3研究グループが並行して研究を進めている. 実施1年目(R1年度)では,センサの固有性を逆算アルゴリズムとして抽出するための方法について研究を進めた.1年目の研究成果として,植生変数等の逆算アルゴリズムをセンサ毎の特性に応じて抽出し,それらを調整するための手法についての知見を得ている. 今後の研究期間では,(R2年度)抽出したセンサ特性の融合方法について検討し,(R3年度)解像度依存性の影響に配慮しつつ,(R4年度)逆算アルゴリズムの等価性について検討を進める.その後は,(R5年度)アルゴリズムの実装および数値実験を実施し,(R6年度)研究全体の成果を理論体系としてまとめることを計画している. 実施2年目(R2年度)では,センサ固有性の結合可能性についての検討範囲を双方向反射特性(BRDFモデル)に拡張することを計画している.それにより,次世代型静止衛星の利用を視野に入れた研究を展開したい.さらに,本研究の成果はGEOとLEOの比較に対しても重要な意味を持つ.そのため,次世代型静止衛星ひまわり8号AHIセンサを利用する準備を進めている.ひまわり8号AHIセンサの補正処理アルゴリズムおよび幾何精度などのデータ特性の解明を進めることを目指している.
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[Presentation] Estimation and Evaluation of Surface Reflectance from Himawari-8 AHI Toward High Temporal Monitoring of Terrestrial Vegetation.2019
Author(s)
Ichii, K., Hayashi, K., Yoshioka, H., Kobayashi, H., Matsuoka, M., Miura, T., & Yamamoto, Y.
Organizer
AGUFM
Int'l Joint Research
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