2021 Fiscal Year Research-status Report
磁場と核偏極とガンマ線を用いた新たな医用イメージングの開拓と原理検証
Project/Area Number |
20K20488
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島添 健次 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (70589340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 英生 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20432239)
鎌田 圭 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (60639649)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核偏極 / 光子もつれ / 多光子 / 角度相関 / ガンマ線 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで悪性腫瘍の検出などの核医学診断はPET (Positron Emission Tomography)やSPECT(Single Photon Emission CT)イメージングに限られてきたが、非常に高い感度(ピコモル)を有している一方で、空間分解能の点で限界がある。一方でMRI(Magnetic Resonance Imaging)は高位置分解能 (100マイクロメートル)な形態診断が可能であるが感度の点で限界がある。また分子間相互作用の全身イメージングは困難であ った。本研究ではこれまでのPETやSPECTとは全く異なる原 理を探索し、新たに磁場と核偏極とガンマ線を利用した医用イメージング診断装置の 開拓と原理検証試験を行う。具体的には、レーザー等により核偏極もしくは自然に偏極した角度相関を有するIn-111(インジウム111) などのカスケードガンマ線放出核種を用いて局所磁場を検出する手法の開発および原理検証試験を行う。また逆に磁場情報を用いて高い位置分解能と高い感度を実現する手法を実証する。加えてレーザーによる核偏極システムを開発し、角相関の制御及び本手法の高感度化を行うとともに緩和時間や角相関の計測を行い、本方式の原理検証を 行う。これにより医学イメージングに必要なPETの感度とMRIの空間分解能を両立できる技術の確立を目指す。加えて本手法は磁場による制御のみならず広く生体内局所情報を抽出する核医学における量子センシング技術として利用可能であり、他の情報媒体を介した変換技術への展開を模索する。特に本年度は超音波も摂動を引き起こすことを確認し、超音波と核医学のあらたな融合の可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新たな医学診断に利用可能な分子イメージング手法として、カスケードガンマ線を用いた原理検証を実施した。磁場装置をもちいたカスケードガンマ線の放出相関についての装置開発を行い、歳差運動の観測を行った。検出器はGAGGシンチレータを用いてエネルギーおよび時間を分解できる体系を構築し、カスケードガンマ線核種から放出されるガンマ線をリストモードで記録する装置を開発した。具体的にはSPECTイメージングで用いられるIn-111を用いて、数Tesla程度の静磁場を印加し、放出されるガンマ線の分布を測定した。放出されたガンマ線の分布からIn-111のラーモア周波数に相当する歳差運動の観測に成功した。これにより提案手法の実現が原理的に可能であることが示された。また超微細相互作用として、生体内の微小な化学的環境を検出する試験を実施し、pHや抗体をラベルした化学形態をガンマ線の分布から検出可能であることを確認し、新たな検出に成功し、論文化を行った。加えてレーザーを用いた偏極を行うためのレーザー装置を名古屋大学のグループにおいて新たに開発し、東京大学への導入を行った。また高精度な検出に必要な高速の時間分解能を有するシンチレーターアレイの開発および高速の読み出し回路の開発を実施した。本年度は特に超音波を用いた摂動の可能性を見いだし、超音波照射によるもつれ光の変化を観測することに成功した。加えて近赤外光でのレーザー励起および角度相関を用いる手法を新たに考案し、実験体系の構築を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究進捗によって、提案原理による手法が実現可能であることが示されてきた。加えて超微細相互作用を用いたイメージング手法の実現可能性やあらたな量子性をもちいたセンシング技術が可能であることが明らかになってきた。そのため次年度以降は磁場および電場に限らずそれ以外の相互作用を引き起こす可能性のある摂動発生機構についても追加で検討を実施していくこととする。具体的には超音波や近赤外光と吸収を有する分子を用いた角度相関の制御についても検討を実施していく予定である。これらはいずれも人体に比較的容易に適用可能な手法であり大きな進展が期待される。磁場を用いたイメージング手法の開発においては、空間分解能の評価のため、解像度を定量的に評価可能な線源配置体系を構築し、分解能の評価を実施していくとともに緩和時間測定など磁場技術との融合を進める。また高速型のシンチレーターと読み出しによる実験精度の向上実施していく。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Double-Photon Emission Imaging With High-Resolution Si/CdTe Compton Cameras2021
Author(s)
Orita, Tadashi and Yabu, Goro and Yoneda, Hiroki and Takeda, Shin’Ichiro and Caradonna, Pietro and Takahashi, Tadayuki and Watanabe, Shin and Uchida, Yuusuke and Moriyama, Fumiki and Sugawara, Hirotaka and Uenomachi, Mizuki and Shimazoe, Kenji
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Journal Title
IEEE Transactions on Nuclear Science
Volume: 68
Pages: 2279-2285
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Development of the Multi-Cubic γ-ray spectrometer and its performance under intense 137Cs and 60Co radiation fields2021
Author(s)
Masaaki Kaburagi, Kenji Shimazoe, Masahiro Kato, Tadahiro Kurosawa, Kei Kamada, Kyoung Jin Kim, Masao Yoshino, Yasuhiro Shoji, Akira Yoshikawa, Hiroyuki Takahashi
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Journal Title
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
Volume: 1010
Pages: 165544
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Luminescence and scintillation properties of Gd3Sc2(Al3-xGax)O12:Ce (x = 1, 2, 3) garnet crystals2021
Author(s)
Warut Chewpraditkul, Nakarin Pattanaboonmee, Weerapong Chewpraditkul, Ongsa Sakthong, Kyoung Jin Kim, Masao Yoshino, Takahito Horiai, Shunsuke Kurosawa, Akira Yoshikawa, Kei Kamada, Winicjusz Drozdowski, Marcin E. Witkowski, Micha; Makowski, Romana Kucerkova, Martin Nikl
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Journal Title
Radiation Physics and Chemistry
Volume: 187
Pages: 109559
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Structural analyses of Gd3(Al,Ga)5O12 garnet solid solutions via X-ray and UV absorption spectroscopy experiments for Gd atoms2021
Author(s)
Mamoru Kitaura, Kei Kamada, Toshiaki Ina, Hisanori Yamane, Manabu Ishizaki, Shinta Watanabe, Junpei Azuma, Isamu Yamamoto, Akimasa Ohnishi, Takeshi Usuki
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Journal Title
Journal of Alloys and Compounds
Volume: 867
Pages: 159055
DOI
Peer Reviewed
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[Patent(Industrial Property Rights)] 放射線測定装置2022
Inventor(s)
吉野将生, 鎌田圭, 吉川彰, 横田有為, 小瀧淳, 島添健次
Industrial Property Rights Holder
吉野将生, 鎌田圭, 吉川彰, 横田有為, 小瀧淳, 島添健次
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
特願2022-014229