2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K20497
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 克樹 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70243110)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | 老化 / 血漿タンパク / 若返り / サル |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、新型コロナウイルス感染拡大による研究活動自粛等のため、予定通りには進められなかったが、まずは、個体の老化の客観的指標となる細胞の増殖能を評価することからスタートした。ニホンザルとマーモセットの老齢個体各々3頭ずつから採血し、新型コロナウイルス感染に影響しにくい、細胞培養を行った。このデータは血漿タンパク投与前の対照データとして用いる。今後は増殖能だけではなく、老化の指標となるバイオマーカーを用いて細胞の老化を評価していく。 また認知機能評価として、逆転学習課題を用いた。マーモセット用装置は改良型を整備して実際に個体に応用した。ニホンザル用の実験装置も整備している。マーモセットでは、運動機能評価から開始した。 運動機能評価は、独自に開発したビデオシステムを用いて3次元運動を計測し、同時に加速度計を用いた活動量を計測するための準備を進めた。 脳機能評価は、MRIを用いてT1強調画像・T2強調画像・DTIを計測した。今後、対照個体(若齢個体)でも同様の計測を実施して年齢群によるデータ比較を行う。また、脳波を用いた誘発電位の計測の準備ができた。脳波を用いた脳機能計測では、物質投与の前後において、視覚刺激(同種他個体の顔写真等)および聴覚刺激(純音や他個体の鳴き声等)に対する誘発電位の大きさや潜時などを、投与前後で比較する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定通りには進められなかった。ニホンザルとマーモセットの老齢個体各々3頭ずつから採血し、新型コロナウイルス感染に影響しにくい、個体の老化の客観的指標となる細胞の増殖能の評価からスタートした。今後は増殖能だけではなく、老化の指標となるバイオマーカーを用いて細胞の老化を評価していく。その他、個体を用いる実験に関しても、技術的な準備は進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では老齢ザル対象種を2種に絞り、コモンマーモセット10歳以上10頭、ニホンザル20歳以上10頭を確保し研究を推進する。若齢化のための特定たんぱく質の投与としてはコモンマーモセットにはTIMP2を、ニホンザルにはNMNを用いる。2年目も投与前のデータを取得し、3年目より50μg /kgを目途に老齢個体に1~6ヶ月腹腔内投与する。老齢個体は2年目に3頭、3年目に4頭を追加して、合計10頭とする。 新型コロナウイルス感染拡大の影響の少ない計画を優先させた。ニホンザルとマーモセットの老齢個体各々から採血し、個体の老化の客観的指標となる細胞の増殖能の評価を実施した。今後は老化の指標となるバイオマーカーを用いて細胞の老化を評価していく。認知機能評価方法として、記憶課題及び逆転学習課題を用いる。運動機能評価は、独自に開発したビデオシステムを用いて3次元運動を計測する。脳機能評価は、MRIを用いてT1強調画像・T2強調画像・DTIを計測する。若齢個体でも同様の計測を実施して年齢群によるデータ比較を行う。また、脳波を用いた誘発電位の計測の準備を行う。脳波を用いた脳機能計測では、物質投与の前後において、視覚刺激(同種他個体の顔写真等)および聴覚刺激(純音や他個体の鳴き声等)に対する誘発電位の大きさや潜時などを、投与前後で比較する。最初の3年間で認知機能評価・細胞の活性に関する研究・脳波計測を実施する。4年目と5年目は脳内の変化を確認するための組織学的検査も行い、研究成果を国内外にて発表し、論文を投稿する。 本研究は研究代表者の中村が計画立案し、PET実験・MRI実験などを実施し、総括する。実験補助員は全ての実験に参加する。連携研究者の鴻池菜保はMRI実験・脳波実験で、勝山成美は認知機能評価で、三輪美樹は運動機能評価で協力し、新潟大学の伊藤浩介准教授には脳波実験で協力を依頼する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、研究活動の自粛等が求められ、動物を用いて思うような研究活動ができなかった。その分、前倒しで2年目で計画していた培養細胞の実験を推進した。今後は研究補助者の雇用等に2020年度分を当てるなどして、研究を加速させる。
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