諸宗教における正典化をテーマとする、比較宗教教典研究の立ち上げのための総合的研究

2022 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20K20499
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 戸田 聡 北海道大学, 文学研究院, 教授 (20575906)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 勝又 悦子 同志社大学, 神学部, 教授 (60399045) ; 林寺 正俊 北海道大学, 文学研究院, 教授 (60449361) ; 宮嶋 俊一 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80645896)
• Project Period (FY): 2020-07-30 – 2023-03-31
• Keywords: 宗教学 / 聖典 / 教典 / 正典 / 仏教 / キリスト教 / ユダヤ教

Outline of Annual Research Achievements

第3年度も、第1年度・第2年度と同様、研究会合を着実に重ねていくことができ、研究代表者・分担者が扱っている個別宗教（仏教・ユダヤ教・キリスト教）以外の宗教の状況についても学ぶことができたことは、当初の計画どおりの進展だったと言える。また、年度末には、当初予定していたシンポジウム形式とは異なるが、「まとめの研究会」を実施し、本プロジェクトの研究会合で招いた専門家諸氏に今一度ご参集いただき、研究代表者・分担者を交えて議論を実施できた。この議論は、一口に要約することが困難な多様な内容を含むものだったが、参加者からは口々に有益な会合だったとの感想が得られた。
以上を述べた上で代表者自身の感想を記すと、とはいえ具体的にどういう成果が得られたかを明示することは今なお容易でないというのが率直なところである。結局、本プロジェクトが目ざしたのは、個別宗教の教典研究に横断的に使える概念や研究方法を見いだすことだったと総括でき、これに関しては、成立時共同体や教典言語（教祖言語との対比で）等、いくつかの概念を提示できそうではあるが、このようなまとめは今後本プロジェクトを受けて執筆する論文で提示する必要がある。つまり、本プロジェクトは、予算を伴う共同研究としては終了したが、その内実を充実させるという意味ではなお進行中のプロジェクトだと評すべきである。
但し、こう述べたからと言って、本プロジェクトが失敗だったと言いたいわけでは毛頭ない。むしろ逆であり、本プロジェクトは、その数々の研究会合を通じて、参加者の活発な議論を得ることができ、つまり参加した各研究者に対して大いに啓発的な内容となったと言ってよい。そして実はこれこそが、つまり各研究者に、こういう形でなければ得られない刺激をもたらしたことこそが、本プロジェクトの意義であり、その意味では本プロジェクトは大いに成功したと言ってよいのではないか。